東京は例年より十日も早い桜の開花宣言だったのに、文字どおりの花冷えで、わずかに咲いた桜の花びらが氷雨に濡れ、いかにも寒そうにふるえていた。
 この時期になると、殺風景な雑木林にはすっかり飽きてしまって、新緑が待ちどうしくてたまらない。そんな気持ちとはうらはらに、真冬なみの冷え込みで、訪れかけた春が、またどこかにいってしまった。雑木林のところどころには湿気をたっぷり含んだぼたん雪がまだら模様に融け残っている。桜前線も北関東の山沿いまでは、なかなかが近づかない。
 三寒四温、それでも春は確実にやってくる。ほんのり赤みを帯びた新しい梢が目立つようになってきたし、道ばたの草木も新芽をしっかりとふくらませている。
 うれしいことに、庭のアカヤシオがひとつだけだが初めての花芽をつけた。植えてから三年が経つ。いっこうに花が咲く気配がなかったが、「こんど咲かなかったら切ってしまうぞ!」とプレッシャーをかけたのが功をそうしたに違いない。  四月から五月にかけて可憐な淡紅色の花を咲かせるが、この辺りではピンクヤシオといって親しまれ、町の花にも指定されているている。ちなみにアカヤシオを含む「ヤシオツツジ」は栃木県の花にもなっている。
 四年前、引越し祝いに友人からもらったシャクナゲも、大きく伸びた枝先に初めての花芽をつけた。ちょと笑ってしまうのは、くだんのアカヤシオと相談したかのようにこれも花芽がひとつだけ!自生している木々と違って、ここの自然環境に馴染むまで時間がかかったのだろう。それにしても開花が待ちどうしい。
 あとひと月もすれば、ヤマザクラの花も咲くだろう。もうすぐ淡い新緑と花の季節がやってくる。
 しかし、春の訪れをその淡い黄色でまっ先に教えてくれるマンサクがまだ花をつけていない。一番早く咲くから「まず咲く」がなまってマンサクといわれるそうだが、今年はどうしたことだろう…

(04.03.28掲載)

春が待ちどおしい
NO15