朝晩の冷え込みはまださほどではないが、透明感のある爽やかな空気が、確かな秋の訪れを感じさせてくれる。
センブリの小さな白い花がいっせいに咲き始めた。風が運んで来たのだろう、一昨年は2、3株が庭の片隅にひっそりと咲いていた。昨年はその種が落ちて少し目立つように拡がったが、それでもまわりの草木の中で見えかくれする程度だった。
しかし、今年はどうしたわけか、庭いちめんに拡がり、文字どおり足の踏み場もないほど。たまたま繁殖条件が合ったのだろうが、びっくりするほど増えてしまった。
センブリで思い浮かべるのは苦い胃腸薬。野の花として実物を見ても、植物図鑑で調べて確認しても、あの強烈な苦味と可憐な花が
いまひとつ結びつかない。
リンドウ科の植物で、漢字では「千振」と書く。千回振り出してもまだ苦いことからこの名前がある。「当薬」という当て字もあって、これは「適切な薬」の意味。
胃腸薬としてはとてもポピュラーだが、最近はテレビ番組に取り上げられたこともあって、自家製育毛剤の原料として人気が高い。センブリに含まれるスウェルチアマリンは、ほとんどの育毛剤で使われている薬効成分で、頭皮の毛母細胞の活性化を助けるのだとか。育毛剤の作り方は、インターネットや本などでいろいろ紹介されているが、僕はまだお世話にならなくて済んでいる。
ご近所の農家の話によると以前はどこにでも自生していたが、最近ではあまり見かけなくなったという。自家製胃腸薬を作るのに材料集めが大変ということで、今年も我が家の大繁殖したセンブリを摘んでもらった。そのかわりといってなんだが、少しわけてもらった手作りの胃調薬をときどき服用するが、これが良く効く。とくに二日酔いで胃の調子の悪い時には重宝している。ちょっと苦いが自然の恵みに感謝!である。
(03.10.19掲載)

