少しは過ごしやすくなったとはいえ、勤め先の東京はまだ秋にはなり切れない暑い日が続くが、那須塩原は、ひと足先に爽やかな風がそよぐ季節になった。  雑木林では薄紫色のアザミの花が目立ちはじめた。
  庭の片隅にはえているのは、どうやら「ノハラアザミ」らしい。最初はポピュラーな「ノアザミ」のようだと当たりをつけたが、よく図鑑を見ると花の根元にある総苞の色が少し違うし、花期も6〜8月と早過ぎる。形や色がそっくりの「トゲアザミ」は分布が四国となっている。他の種類は明らかに違う。
 気になって布団に入ってもなかなか寝つけない。植物図鑑をとっかえひっかえ調べていたが、やっと3日目に深夜発見。翌朝、図鑑を片手に確かめた。間違いない! 「ノハラアザミ」だ。たぶん…
 秋の山野を彩る草花としてなじみのあるアザミ。日本には約100種類ぐらい分布していて、どれもよく似ているので、なかなか判別 がつかない花だそうだ。
 そのほとんどが日本の固有種で、世界中のアザミ属の1/3が日本に分布している。
 名前のいわれは、沖縄八重山地方で、とげを「アザ」と呼ぶことから「アザギ/とげの多い木」と呼ばれ「アザミ」に転じたという説や、驚きあきれる、興ざめするという意味の「アザム」が由来の説もある。美しい花を折ろうとするとトゲにさされて、驚きあきれ、興ざめすることからこの名前がついたそうだ。
 アザミの鋭いトゲが敵から国を守ったとして、スコットランドの国花になったことも初めて知った。
 庭の雑草をきっかけに、身近な草花に興味を持つようになった。図鑑を買って調べはじめるととても面 白い。さいたま市にすんでいた時には目もくれなかった雑草が、ちゃんと名前が付けられて図鑑に載っている。
 ありふれた道ばたの草花が、なにか特別なものに見え、名前の由来や分布など興味が尽きない。
 これも田舎暮しのちょっとした楽しみのひとつである。

(03.09.14掲載)

薊・野薊・野原薊
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