第2詩集も懲りずに自費出版です。1作目の詩集は感覚的な方向に傾いていたため、今回はもっと誰にでもわかりやすい表現をと考えました。 製作をすすめたのが仕事を辞めた時期だったこともあり、題名からもうかがえるように、少し悲観的な調子が強い詩集となってしまいました。またわかりやすさを求めるあまり表現が説明的になり、あとで読み返してみても、全体として詩としての味わいに欠けてしまったようにも思えます。
「秋の恥じらい」
夏が過ぎた後
季節は内気になり
俯き(うつむき)加減のよく似合う
秋へと変わる
秋の木の葉の紅(くれない)は
赤く火照った頬の色のようだ
もしも恥じらいを失ったなら
きっと秋は
秋でなくなるだろう
・・・ 季節の中では秋が好きです。春のうきうきした感じとは違い、秋は物静かに季節が深まっていくように思います。そんな夏から秋へと変わるようすと、秋の紅葉を結びあわせて作ってみました。
「色づく時」
花の命の短さを知りながら
乙女ごころは
咲き匂うことを激しく望む
色づいた葉にこそ
熟れた美しさを
見る人もいるというのに
蕾のままでいる女(ひと)よ
今ここで花と咲けなくとも
泣くのはおよし
やがていつの日か
紅く色づいたあなたを
目を細めて見上げる人が
梢の下に現われるだろうから
・・・ 生まれたばかりの若さも美なら、年月を重ねたあとの落ち着きもまた美だと思います。失礼ながら女性のこころを推し量って書きました。
男性も女性もそうですが、咲きたい時に咲けず、まわりがみな花を開いているのに自分だけが咲き遅れてしまったと感じることがあります。
それでも辛抱して前を向いていれば、いつの日か花にはない美しさで人生を彩ることができると信じたい。またそうした美しさはいつまでも見飽きないものだと思います。
「無垢な場所」
安らげぬとき
私は空を眺める
すると気が晴れてくる
空の青が美しいからでも
大きいからでもない
とても高い所にあって
人の手の届かないものだから
手垢のついた余計な物が
ひとつとして空には浮かんでいないからだ
・・・ 空を眺めると自分の悩みが小さく思えると言われます。ただこの詩を書いた時は、私は空をあおいでもちっともそんな気分にはなりませんでした。
もし空を見て気が晴れるとすれば、こういう理由なのかなと想像して作った詩です。ですので頭のなかで作りだした、すこし不自然な詩です。
ですが信じられなくとも、思ってみるだけでもこころに刻まれ、いずれ本当だとわかる日がくるのかもしれません。そのせいか、この頃少しずつ空の広さを感じられるようになってきました。
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