恥ずかしながら自費出版ですが、初めて出版した本です。仕事で島根県の雲南市というところに住んでいたとき、人の抱く優しさや美しさ哀しみを素朴に素直にあらわそうと思って作りました。また山や木などを擬人化して表現する作品もあります。島根県は自然も人も穏やかで、そういう気持ちが自然と湧くところです。
自分でも気に入っている作品を少し紹介します。作った時の気持ちなども付記してあります。
「破片」
天国が汚れなき純白ならば
降りしきる雪は
その清らかな破片なのだろうか
・・・ 松江城のそばにある県立図書館から、冬のお城と堀を眺めていた時に浮かびました。私は短い詩を理想としています。日本語はひとつひとつの文字に母音が入るので、発音が間延びしてしまい、英語などに比べてどうしても言葉少なになりがちです。だからこそ余韻を大切にしたいと思いますし、それができるのが日本語だとも思っています。俳句はその典型でしょうか。
「時の結晶」
思い出は 命を失った時間の骸(むくろ)である
けれどその残骸は
積み重なることで結晶となり
輝きはじめる
南の海の 珊瑚礁のように
・・・ 昔の自分を思い出すと、いいこともあったけれど、辛かったことや哀しかった記憶がどうしてもさきに浮かんできてしまいます。
そんな経験がなければ、もっと自分は・・・そう考えてしまいがちですが、いい思い出も悪い思い出も、すべては自分の糧としてこころの中にあるのではないか。
たとえいまは
そう信じられなくても、どんな思い出だって時がたてばこころの底で輝きだすんだ、自分に言い聞かせるように書いた詩です。
「恋の通信手」
私は噂のキューピッド
恋の電波を感じ取り
想う人へと伝えます
けどこの頃は
暗号文が多すぎて
うまく仕事がこなせない
いとしい彼に背を向けながら
「ワタシヲミテ」
とはちと高度
なんとか努力はしてますが
うまくいかないことも多々
暗号カイドク苦手です
なるたけもっと簡潔に
恋の通知は平文電報(ひらぶんでんぽう)
そしたらきっちり届けます
「アナガタスキ」
が一番いいね
・・・ リズム感を出そうと思って書いた詩です。リズムをとりながら読んでみてください。詩や散文を問わず、読んで心地いいリズムがあれば文は魅力を増すと思います。
内容は女性の立場からのものとなっていますが、もちろん男性にも言えること。自分もそうですから(苦笑)
人間は敏感で他人の気持ちを必要以上に気にするにもかかわらず、自分が相手を見ていないときは、相手のこころに鈍感になるものです。
そして気づいてくれないと気をもむほうは、なんとか自分の手をわずらわさずに、相手に自然に気づいてほしいと願うもの。
ですが一世一代の想いは、素直に伝えたほうがいいような気がします。そりゃ心臓がバクバクするし、恥ずかしいですけどね。結果は保障できませんが、伝わることだけは確実に伝わりますから。
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