裏面

 

題名

タ・イ・ム

 

 

 

 

 

 

 

出演者

菅野久夫・新谷一洋・中進・白石禎
聖あやみ・もたいまさこ・光永吉江・村田ユチコ・渡辺えり子

 

渡辺えり子

 

演出

渡辺えり子

 

作曲

渡辺えり子 

 

編曲

福島一幸

 

演奏

ドラム鎌田浩・ギター岡沢敏夫・ベース中村英雄

 

照明

森田三郎

 

美術

松野潤

 

振付

菅原鷹志

 

音響

原島正治(舞台音響囃組) / 堀江由美子

 

舞台監督

武川喜俊

 

衣装

武藤みゆき

 

宣伝美術

サンルーフ

 

製作

プリティペア

 

惹句・挨拶

ときには時間の運河を下り 真夏のきのうに帰ろかな
ときには忘れた思い出を つないではずしてカラコロリン

夢かうつつかその中で クルリと逆立ちしたならば
きのうのきのうはあすになる。

初演からはや三年、まだまだ不安な夏は続いていた。3〇〇が心をこめてお送 りする「時の三部作」完結編、乞うご期待!

 

青年  じつは僕、追われ追われてここまで来ましたが、何に追われて逃げて来たのか言葉では言い表わせないんです。

 それは黒い男なのでしょうが、それが見えているようで見えていない。実体があるようでないような奇妙な男なのです。

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 現に僕はついさっきも、この先の角まで追いつめられて来たのです。この先の白転車屋まで僕は走って逃げて来ました。今日の僕も気の遠くなるような昔の僕も何だかいつもこうして心臓をドキドキさせながら、無数の角の角という角を、曲って曲って追われて走る、永久じかけの時計の針みたいに、廻って廻って追われて走る、なんなんでしょう。一体なんなんでしょうねえ。

兄   ふんふん…それはきっと時間だよ。

青年  時間?

兄   ああ、今こうやって過ぎ去って行こうとする時間が、時間の方から君を追いかけてくるのさ。君が走って来た幾多の角の片隅に残してきた後悔が君を追いかけて来るのさ。

青年  あの、あれはそんな抽象的なものなんですかねえ。 

兄   おやおや、君は時間が抽象的な物だと考えるのかい?時間が抽象的だというなら、何故、時間は今、ここにあるのだ? 

青年  はあ?

兄   なら何故、今こうやって君は時間に触れているんだい?

青年  触れているんですか−−と手をのばす−−

兄   ほら、消えた。今、君の目の前で時間が消えたのが見えなかったかい?

青年  はい。

兄   時間が見えないようじや、君、人間とは、ましてや男とはいえんよ。

妹   女には時間が見えないの?

兄   見えんよ、見えんよ、もやっとしてんだから。時間なんかなくたってしぶとく生き続けるのが女なんだから。

妹   失礼ね。

兄   今、僕のまわりにあるのは善い時間だ。善良な時間と言える。しかし、君を追いかけて来るのはそうじやない。魔物の時間だ。君がある時、ある所ですっぱり忘れて置いてけぼりにした、そう、かくれんぼの鬼のようにひがみっぽい闇の時間さ。だから君は逃げるんだ。どこまでも……。

 

 

その他・
備考

これも実物が手に入らず、コピーになっています。

 


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