“グランド・マスター★★
一代宗師
(2013年香港映画)

監督:ウォン・カーウァイ
原案:ウォン・カーウァイ

脚本:チョウ・ジンジ、シュー・ホーフェン、ウォン・カーウァイ
出演:トニー・レオン、チャン・ツィイー、チャン・チェン、マックス・チャン、ワン・チンシアン

 

ブルース・リーの師匠として知られる伝説の武術家=葉問(イップ・マン)の生涯を描いた“歴史カンフー・アクション”。

1930年代の中国、北の“八卦掌”の宗師=宮宝森(ゴン・パオセン)は、生涯をかけて中国拳法の統一を進めてきたが、残る南北統一の使命を後継者に託そうとしていた。そして南の数ある流派の達人たちから推された“詠春拳”の宗師=葉問(イップ・マン)と自ら人格を問う闘いをして、自らの後継者として葉問を指名する。
しかしそれに納得しない一番弟子の馬三(マーサン)は師のパオセンに反旗を翻し、師を倒して一派を掲げる。パオセンの一人娘で“奥義六十四手”をただ一人受け継ぐ宮若梅(ゴン・ルオメイ)はマーサンに復讐を誓うが、マーサンを追う前にただ一度イップ・マンと立ち会い、気持ちの通うものを感じる。
そしてもう一人、中国国民党の特務機関に従事する一線天(カミソリ)という“八極拳”の遣い手。

日中戦争をストーリィの前後あるいは背景にはさみ、20世紀前半の中国〜香港を舞台に4人のカンフーが歩んだ人生を描いた歴史的な作品ですが、カンフー最強者を決する様なアクション場面とは無縁で、見処はむしろストーリィとは別のところにあります。
つまり、カンフー同士の闘いの場面、そこはもう映像美の世界です。
いかに拳や脚が振るわれ、どうカンフー同士の肉体が交錯し、それを美的世界に昇華させていくか。踊りの世界に通じるといっても過言ではないでしょう。
だからといって男性ばかりでは索漠としてしまいがちなところを、ただ一人とはいえ若くて美しい女性カンフーを交えたからこそ、華美な映像美が成り立っています。
そして、それに纏わるようにルオメイのイップ・マンに対する慎ましい恋心が描かれ、瑞々しい残影となって印象的です。

本映画の満足度は、観客の好みによって大きく左右されそうです。

2013.06.08

       


  

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