“サイドウェイ” ★★☆
SIDEWAYS
(2004年アメリカ/ハンガリー映画)

監督:アレクサンダー・ペイン
原作:レックス・ピケット
脚本:
アレクサンダー・ペイン、ジム・テイラー
出演:ポール・ジアマッティ、トーマス・ヘイデン・チャーチ、ヴァージニア・マドセン、サンドラ・オー

 

久し振りに、大人の、いい映画を観たな、と思いました。

ストーリィは、学生時代からの親友、マイルスとジャックの中年男2人が車でカルフォルニアのワイナリー巡りの旅に出るというもの。
マイルスは離婚した元の妻ヴィクトリアへの想いを未だ断ち切れないでいる。中学校教師の職に傍ら書き上げた小説を出版社に持ち込んでいますが、その反応も芳しくない。ジャックから小説家と持ち上げられる度、忸怩たる思いを味わう。
一方のジャックはTVスター。離婚以来落ち込んでいるマイルスを励まそうとしますが、結婚を控えた最後の1週間を道中知り合った女性たちとヤリまくって過したいとも考えている。
旧交を温めるとともにジャックにワインの指南をしようとするマイルスと、ヤリまくってマイルスも元気づけようと思っているジャックとで、そもそも思惑が違っているようなのです。
それなのに、次々と2人はワイナリーをめぐり、マイルスはワインへの薀蓄ぶりを発揮する一方で時にガブ飲みして酔っ払って荒れ、ジャックは出会う女性に見境なく目を光らせるという珍道中。

神経質で鬱屈しているダメ男=マイルスに対し、ジャックは磊落で女性に対しても如才ない。途中知り合った女性2人と2対2の交際が始まりますが、マイルスとジャックでは対照的。
しかし、結局騒動が起きてみればジャックこそ情けない有様をさらけだし、一方でマイルスは徐々に立ち直りを見せていく。2人の立場がまるで逆転するかのような展開にしみじみとした味わいを感じます。
そして最後の幕切れがいいんだな、これが。

※なお、ワインについての会話は限りなく出てきます。でも、マイルスを見ているとワインを嗜むことによって幸せを得ていると思えないところがちょっと気になる。ワインを寸評することが大切なのではなくて、ワインによって楽しみを増すことが大切だと思うから。

2005.12.24

       


  

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