“スタンドアップ” ★☆
North Country
(2005年アメリカ映画)

監督:ニキ・カーロ
原作:クララ・ビンガム、ローラ・リーディ・ガンスラー
脚本:マイケル・サイツマン
出演:シャーリーズ・セロン、フランシス・マクドーマンド、ショーン・ビーン、リチャード・ジェンキンス、ジェレミー・レナー、ミシェル・モナハン

 

全米で最初にセクシャルハラスメント訴訟を起こし、そして勝訴を勝ち取った女性の実話に基づいた作品。

主人公のジョージー・エイムズは酒乱の夫から逃れ、子供2人を連れて実家に戻ってきます。
自分で働き、稼いだお金で2人の子供をきちんと育てたいと願うジョージーは、給金の高い鉱山労働者となります。
女性の鉱山労働者も僅かにいるとはいえ、そこはまさに男の世界。ジョージーの父親もまたそこで働く鉱山労働者でしたが、女が入り込んでくるのを嫌悪するという点では他の男たちと変わるところありません。
まして、若く美人で、かつて未成年で父親の判らない長男を産んだという経歴をもつジョージーは、しきりとアバズレ扱いされます。

私がいた会社、そして今いる会社でもセクハラ問題はここ数年で急速に重大な問題となりました。
しかし、ジョージーや他の女性労働者が鉱山という職場で受けたのは、セクハラなどという言葉ではとても言い尽くせないもの。むしろ、男性による女性への迫害というに相応しい。
元々男だけの職場だった、不況の影響で鉱山閉鎖もある中で同じ男性労働者がせっかくの職場を女性労働者に奪われるといった反感もある、元々男臭い職場に後から女性がセクハラ問題を抱えて乗り込んできた、という思いもあるでしょう。決して彼らを弁護するつもりはありませんが、そうした時代の変化についていけない男たちの戸惑いといったものも感じるのです。

ただ、考え違いをしてはいけないのです。法律ができたからセクハラが禁止されたのではなく、セクハラは元々やってはいけないことだったのです。法律は単にそれを後押しするものであるに過ぎません。
こうした変化についていけない考え方の持ち主がいるのは当たり前のことで、そうだからこそ法律が定められたのであり、それを実践する責任があるのはまず経営者および現場の責任者であると言えます。
ですから、本作品を観て感じたのは、現場の男性労働者より経営者、現場の責任者こそ責められるべきであったろうということ。

2006.11.25

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