“幸せの1ページ” ★★
Nim's Island
(2008年アメリカ映画)

監督:ジェニファー・フラケット、マーク・レヴィン
原作:ウェンディ・オアー
脚本:ジョゼフ・クォン
出演:
ジョディ・フォスター
、アビゲイル・ブレスリン、ジェラルド・バトラー

 

ジュディ・フォスター出演の映画を劇場で観るのは、1976年の「ダウンタウン物語」以来30年ぶり。
演技力には定評のあるそのジュディ・フォスターのコミカルな演技と、人気児童書を映画化した冒険ファンタジーが見どころ、という点に惹かれて見に行きました。
ところが、何なんだこの映画は!? ストーリィは次から次へと目まぐるしく展開して息もつかせず、滅茶苦茶面白いではありませんか!!
こうも観る前の予想と食い違ったのは、「幸せの1ページ」という邦題の所為。時に邦題から思い浮かべるイメージと実際の作品がまるで異なるというのは時々あることですが、本作品もその典型例。

さてストーリィ。
主人公のニムは、海洋生物学者である父親のジャック・ルソーと太平洋の孤島に2人っきりで暮らす少女。
地図にも載っていないという無名の火山島で、物心ついたころからこの島で2人っきりの生活というのが凄い。したがってニムの親友は、アシカのセルキーにトカゲのフレッド、海鳥のガリレオ、海亀の・・・という具合。
しかし全く文明社会と繋がっていないかといえば、半年毎に生活物資を届けてくれる船が沖に来るし、家にはちゃんとパソコンを備えていてインターネットで世界とは繋がっているというところが、古来の孤島物語とは異なる点。

さて父親が研究のため2日予定でヨットに乗って海に出て行ったところ、嵐にあい漂流、連絡も途絶える。父親が戻らず心細くなったニムは、電子メールで助けを求めます。
その相手はちょうど連絡を取り合うようになった、ニムが愛読する冒険小説のヒーロー、“アレックス・ローバー”。
ところがその実態は、サンフランシスコに住む外出恐怖症の女性作家=アレクサンドラ・ローバーだった、という次第。
折りしも近くを通りかかったクルーズ船が、恰好の上陸地と観光客を乗せて島に上陸してきます。
さて、2人だけの島を守るためニムは観光客等を撃退できるのか、広い大洋上で漂流するジャックは無事ニムの元へ帰れるのか、そしてアレクサンドラは外出恐怖症を克服してニムの元へ辿り着くことができるのか、というストーリィ。

片や「ホームアローン」ばりのアビゲイル・ブレスリン演じるニムの少女ヒーロー劇、片やジュディ・フォスター演じるドタバタコメディ劇、そして少しジェラルド・バトラー演じる漂流から脱出劇という、三方向の面白さ。
そしてニムの活躍劇を更に面白くしてくれるのが、ニムの親友であるトドやトカゲの活躍ぶり、その表情ぶり。
とくに観光客を撃退すべく空を高く飛んでいくフレッドの表情、何度思い返しても可笑しく、当分忘れられそうもありません。

この作品の最大の魅力は、こんな作品を作り上げた、ということにあります。
製作する側に遊び心がなかったら、こうした作品が世に出ることなどなかったことでしょう。
ジュディ・フォスターのコミカル演技に賛否両論あるかどうかは知りませんが、私としては大好きな手合いの作品。まさにツボにはまりました。
元気一杯の少女、孤独にさいなまれる少女、アクションスターさながらの活躍を見せる少女と様々なニムの姿を演じたアビゲイル・ブレスリン、すっかりファンになりました。

2008.09.13

  
 → 原作:「秘密の島のニム

    


  

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