“わたしを離さないで” ★★☆
NEVER LET ME GO
（2010年イギリス／アメリカ映画）

監督：マーク・ロマネク
原作：カズオ・イシグロ
脚本：アレックス・ガーランド
出演：キャリー・マリガン、アンドリュー・ガーフィールド、キーラ・ナイトレイ、シャーロット・ランプリング、イゾベル・ミークル＝スモール、チャーリー・ロウ、エラ・パーネル

カズオ・イシグロ「わたしを離さないで」の映画化。

イギリスの田園地帯にある、特殊な雰囲気をもった寄宿学校。そこは過酷な運命を負わされた少年少女たちが学びつつ成長する場所だった。
やがて卒業して別れ別れとなりますが、仲の良いキャシー、トミー、ルースの三人は同じ施設に移ります。しかし、自分たちの運命を少しでも逃れようとしたルースの行動により、キャッシーは介護人の道を歩むことを決意し、一人去っていく。
数年後、介護人として働いていたキャシーは訪れた病院で、複数回の手術を受けて弱っていたルースと再会、それを機に三人が再び連絡をとりあい、一緒に昔の寄宿舎を訪ねます。そして・・・。

これはクローンとして生み出され、移植のために自らの臓器をさし出すことを運命づけられた若者たちの青春ストーリィ。
そこには諦念と、少しでも僅かな希望が得られないかと手探る若者たちの、静謐な青春像があります。
なんと非道なことか、何と哀しいことか。それ以上に胸を打たれるのは、それを仕方ないこととして受け入れている彼らの姿、表情です。

主演のキャリー・マリガンがとても好い。言葉が少ないからこそ伝わってくるものの大きさを感じる作品です。

2020.05.02