“J・エドガー” ★★☆
J・Edgar
(2011年アメリカ映画)

監督:クリント・イーストウッド
脚本:ダスティン・ランス・ブラック

出演:
レオナルド・ディカプリオ、ナオミ・ワッツ、アーミー・ハマー、ジュディ・デンチ

 

クリント・イーストウッド監督作品という理由で観に行った作品。でも、イーストウッド監督作品という面からのアピールは、余り無かったなぁ。

FBI(アメリカ連邦捜査局)を創り上げ、初代長官として亡くなるまで48年間の長きにわたりトップとして君臨したジョン・エドガー・フーヴァー(1985-1972)の生涯、そしてFBIの成り立ちを描いた作品。
何より印象的なのは音楽が全くないこと。本ストーリィは、老年に至ったフーバーが、自分の軌跡を若い職員相手に口述を始めるところから語り起されます。
すべて語り、そして登場人物の会話だけで展開していく作品、まるで映画というより自伝を読んでいる(文章ではなく映像という媒体により)という気分になります。
決して面白いストーリィでも、ミステリあるいはサスペンスティックなストーリィではありません。極限まで地味、と言うべきでしょう。でもいつしかこの物語の中にすっかり圧倒され、引き込まれている自分に気付く、という風。

エドガー、本ストーリィでも実際でも、科学捜査の導入、捜査の近代化等々の面で大きな功績があった人物であると同時に、自分の権力を守るために知り得た秘密情報を用いて有力政治家を恐喝するということもしてのけた独裁的な人物でもあったらしい。一方で、マザコン、同性愛傾向も描かれており、FBI長官という姿との大きな差も見事に描き出されています。

エドガーが全面的に信服を置いた人物は僅かに3人。一人はエドガーを叱咤して止まない母親、エドガーが死すまで個人秘書を務め続けたヘレン・ギャンディ、副長官としていつも傍らにいたクライド・トルソン。
主役のフーヴァーを演じたレオナルド・ディカプリオだけでなく、上記3人をそれぞれ演じたジュディ・デンチ、ナオミ・ワッツ、アーミー・ハマーの演技も見応えあります。
こういう映画もあるんだな、というような作品と言うに尽きます。

2012.02.11

       


  

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