“天使と悪魔” ★★
Angels & Demons
2009年アメリカ映画)

監督:ロン・ハワード
原作:ダン・ブラウン
脚本:アキヴァ
・ゴールズマン、デヴィッド・コープ
出演:トム・ハンクス、
ユアン・マクレガー
、アイェレット・ゾラー、ステラン・スカルスガルド

 

ダン・ブラウン原作の映画「ダ・ヴィンチ・コード」の続編となる作品。
原作ではシリーズ1作目ですが、映画では順番が逆となり「天使と悪魔」が2番目。

ローマ教皇が死去し、新教皇を決めるための教皇選挙(コンクラーベ)が開かれる一方において、新教皇の有力候補である4人の枢機卿が何者かに誘拐され、1時間ごとに“土・空気・火・水”をもじって殺害していくという脅迫文が届きます。そのうえ、直前にスイスにある欧州原子核研究機構から盗み出された、恐るべき破壊力を秘めた“反物質”をさらに1時間後に爆破させ、ヴァティカンを破壊尽くすという脅迫が重なります。
相手は、17世紀に教会によって弾圧された科学者たちが結成した秘密結社“イルミナティ”を名乗る。
イルミナティの残した謎を解き明かすことのできる人物としてヴァティカン警察から名指しされた、宗教象徴学の権威であるロバート・ラングドンは、ミルミナティとの対決に乗り出す。そしてもう一人、反物質の開発担当だった女性科学者のヴィットリア・ヴェトラも捜査チームに加わって・・・というストーリィ。

1時間毎に枢機卿が残虐な方法で殺害される、それを防ごうとするラングドンらがローマ市内の有名史跡を次々と駆けずり回るという趣向、そのスピード感、サスペンス感に圧倒されることしきり。
ストーリィとしてみると、滅茶苦茶なところ、理解し難いところ沢山あるのですが、この面白さを前にしてはあまり気になりません。まぁいいや、と許せます。

ところがそんな前半を過ぎると、反物質の隠し場所追求というサスペンスの一方で、新教皇選出にかかる陰謀が浮かび上がってきて、ますますストーリィは訳が判らなくなる、といった風。
後半の興味、見所は最終的に、ユアン・マグレガー演じるところの、前教皇の信頼篤かった片腕というべき司祭=カメルレンゴが善者なのか、それとも悪者なのかに尽きると思います。

即ち本映画の面白さは、前半はスピート感とサスペンス性、後半は司祭カメルレンゴが善なのか悪なのかという複雑性にある、といって過言ではありません。
その意味で、カメルレンゴ役のユアン・マグレガー、主役のトム・ハンクス、準主役の
アイェレット・ゾラーを完全に喰っていると言える。
そもそもトム・ハンクス、こうしたサスペンス映画に向いていないんだよなぁ。
この映画、ユアン・マグレガーの存在あってこその面白さだと思います。
そのユアン・マグレガーに拍手。

 2009.05.16

      


  

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