“17歳の肖像” ★★☆
AN EDUCATION
(2009年イギリス映画)

監督:ロネ・シェルフィグ
原作:リン・バーバー
脚本:ニック・ホーンビィ
出演:
キャリー・マリガン
、ピーター・サースガード、ドミニク・クーパー、ロザムンド・パイク、アルフレッド・モリナ、カーラ・セイモア、エマ・トンプソン

 

英国の人気記者リン・バーバーの回想録を基に、ベストセラー作家のニック・ホーンビィが脚本を手掛けた青春映画とのこと。

1961年、ロンドン郊外の街に住む高校生ジェニーの、16歳から17歳にかけた時期における年上の男性との恋愛経験を描くストーリィ。

ジェニーは美人で成績優秀な女子学生。目標はオックスフォードへの進学。
でもそれは、頑迷な父親の一方的な押し付けらしい。ではオックスフォード進学についてどんな目的があるのかというと、その後の道を何ら父親は描けていないらしい。単にいい男をみつけることができる、という程度。
そんな日々にうんざりしつつあるジェニーが大雨の日、偶然知り合ったのはディヴィッドという大人の男性。
そのデイヴィッド、母親や娘の言うことなど聞き入れもしない父親を見事に手玉にとって懐柔し、親の許可の下にジェニーを音楽会、ナイトクラブ、オークション、ドッグレース等々いろいろな場所に連れ出してくれる。
そんなディヴィッドに魅了されたジェニーは、学業が意味ないように思われる一方、ディヴィッドとの恋愛に夢中になり・・・・

17歳という年頃、そんな危うい、あるいは色々な夢を見る時期なのでしょうか。
ごく普通の女高生、美しく着飾ることを覚えた娘、恋する女、蛹が蝶に変わるように様々な姿を見せる。
瑞々しく、愛らしく、一方痛ましくも感じられる。そんなジェニーを演じるキャリー・マリガンが、実に見応えあり。

この映画で何より素晴らしいと思うのは、一旦道を踏み外した観のあるジェニーがそのままズルズルと行くことなく、自分自身の力で再び自分の歩むべき道を取り戻すところ。
そこには、人生の苦さを経験し、学ぶこと・学ぶ時間を持つ意義を掴みとり、堂々と助けを求める勇気をもつ、凛とした若い女性の姿があります。

最近読んだばかりの姫野カオルコ「リアル・シンデレラ」をふと思い出し、ジェニーが惹かれたのは“シンデレラ”の夢に過ぎなかった、しかしシンデレラでは幸せはつかめない、そのことをジェニーは学んだのだ、ということ。

苦さもあるストーリィですが、エンディングは素晴らしい。
ジェニー、それを演じたキャリー・マリガンの瑞々しさが余韻として残ります。

2010.04.24

  


  

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