“トップ・ハット” ★★★
Top Hat
(1935年アメリカ映画 RKO)

監督:マーク・サンドリッチ  音楽:アーヴィング・バーリン 
主演:フレッド・アステア、ジンジャー・ロジャース

 

(再)
アステア・ファンの方から頂いたビデオで観た作品。テレビのロードショーの録画で、吹替え付です。
最初は吹替えも字幕も無しで見て、2度目は吹替え付で見た訳ですが、やはりストーリィが判って見ているのと、そうでないのとでは、面白さはまるで違います。
フレッド・アステアが演じるのはアメリカからやって来たダンサーのジェリー・トラバース。伊達で粋な洒落男という設定で、アステアの魅力を一番引き立てる役柄です。一方、ジンジャー・ロジャース役は、アステアに追いかけられる女性テール・トレモント。なかなか魅力のある女性の役です。その2人の間の、人違いをネタにしたラブ・ストーリィなのですが、洒落ていて、ストーリィ自体とても楽しめます。
本作品は、アステアとジンジャーのコンビによるミュージカルにおいても、最も充実した時期の作品だろうと思います。
前半におけるアステアのシルク・ハット(トップ・ハット)+燕尾服は、如何にもアステアに似つかわしい服装。同じいでたちの男性ダンサーを数多く従え、ステッキという小道具を使った“マシンガン”のナンバーは、個性的で魅力たっぷりです。タップの音をマシンガンの音に見立てているところが、ユニーク。
また、ジンジャーとのダンスは、ロンドンの公園とイタリアのレストランと2つのシーンがありますが、優雅さが際立っているという印象を受けます。
アーヴィン・バーリンによる、ロマンティックな「ヘヴン」の唄と、軽妙で陽気な「ザ・ピッコリーノ」の曲も素晴らしく、この作品を盛り上げています。ただ、「ヘヴン」の唄から始まる“チーク・トゥ・チーク”というナンバーは、ロジャースが全身羽根に覆われた衣裳を着たため練習では羽根がそこら中に飛び散り、アステアも憤慨して大変だったとか。画面で見る限り、そんな苦労は少しも窺い知れませんが。
なお、アステア単独のタップ・ダンスでは、マシンガン・ナンバーだけでなく、冒頭部分、砂を撒いての子守唄代わりのタップ、というのも面白いアイデアです。
洒落たストーリィに加えて、アステアらしい独特のタップと、ジンジャー・ロジャースとの優雅なダンスと盛り沢山、しかも音楽(唄を含め)も素晴らしいという作品。2人の代表作のひとつ、と言って間違いないでしょう。

2001.05.05

 

(最初)
アステア・ファンの方から頂いたビデオで観た作品。アメリカ映画そのものなので、字幕スーパーもなく、英語力貧困の身としては会話内容を理解できず、ダンス・シーン中心に観ることとなりました。
登場するアステアは、常に燕尾服とシルク・ハットという、これぞアステア!という服装。何と言っても若いアステアですから、ダンスは動きも大きく、堪能できます。
アステア1人のタップは、まさにアステアの面目躍如というところですが、ジンジャー・ロジャースと組んだダンスは、それと対照的に優雅さを強く感じさせられます。
単独のタップ・ダンスでは、冒頭の子守唄代わりのタップというのも面白いですが、同じいでたちの男性ダンサーを数多く後ろの従え、杖という小道具を使った、“マシンガン”のナンバーが個性的で魅力たっぷり。タップの音をマシンガンの音に見立てているところが、ユニークです。
ロジャースとのダンスでは、嵐の中の公園で踊るナンバーと、最後の方“チーク・トゥ・チーク”が優雅さで印象に残りました。ただ、“チーク・トゥ・チーク”というナンバーは、ロジャースが全身羽根に覆われた衣裳を着たため、練習では羽根がそこら中に飛び散り、アステアも憤慨して大変だったとか。画面で見る限り、そんな苦労は少しも窺い知れませんが。
アステアらしい独特のタップと、ジンジャー・ロジャースとの優雅なダンスが対照的で、その両方が印象に残る作品です。

2001.04.30

 


 

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