“青空に踊る” ★★
THE SKY'S THE LIMIT
(1943年アメリカ映画 RKO)

監督:エドワード・H・グリフィス
脚本:フランク・フェントン、リン・ルート  
音楽:ジョニー・マーサー、ハロルド・アーレン、リー・ハーライン
主演:フレッド・アステア、ジョーン・レスリー、ロバート・ライアン

 

1943年制作の映画ということもあってか、戦争が背景に出てきます。
アステアが演じるのは、ゼロ戦を17機撃墜した英雄ということで、10日間の凱旋休暇を貰った空軍パイロット・アドウェル少尉。
戦闘機乗り姿のアステアはまるで似合わず、軍服姿、さらにテンガロンハット姿のアステアは珍しいとはいえますが、やはりアステアはシルクハットに燕尾服姿が一番だよなぁという思わせます。

せっかくの休暇もパレード・講演会にあちこちひっぱりだこで冗談ではないと逃げ出したアドウェルがニューヨークの通りで見初めたのが、ジョーン・レスリー演じる写真記者でステージで唄も歌うという美人のジョーン・マニオン。
ただちにアドウェルは、失業中のバートンと名乗ってマニオンにしつこく付きまとい始めます。
現代ならば相当に執拗なストーカーということになりますが、マニオンという女性の脇も甘さもあって、次第にマニオンはアドウェルを受け入れていきます。

この作品、アステア映画としてはダンスシーンが少ないという印象です。その中で印象に残ったのは、本来あまり大したシーンではないのでしょうが、店の小さな丸テーブルの上でアステアが同僚から無理やり踊らされるスネーク・ダンス。ちょっと笑えるダンスシーンです。
むしろ面白味は、アステアと美人女優ジョーン・レスリーとのコミカルで、尽きることない恋の駆け引きにあると言えます。
こういった役柄、アステアよりむしろジーン・ケリーに合う(「巴里のアメリカ人」)ものではないかと思いますが、若きアステアならそう違和感はなく、充分楽しめました。

結局10日間の休暇が終わるため、マニオンと仲違いした形で別れたアドウェルですが、アドウェルの正体を知って気を利かせた上司によりマニオンが攻撃機が出撃する航空基地に取材に出かけ、そこでアドウェルに再会して2人の間が氷解するというエンディング。
ハッピーエンドとは言い切れないのは、これから戦地に向かうアドウェルに、必ず帰ってきてと約束させるマニオンという幕切れの故。

2007.01.28

 


 

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