“バンド・ワゴン” ★★★
THE BAND WAGON
(1953年アメリカ映画)

監督:ヴィンセント・ミネリ
出演:フレッド・アステア、シド・チャリシー、ジャック・ブキャナン、オスカー・レヴェント、ナネット・ファブレイ

     

何としても観たかった映画です。レンタルビデオショップにいつまで経っても並ばないのでいい加減買ってしまおうかと思っていたところ、やっと入りました。
2007年の幕開けに、とても嬉しいこと。
何故そう観たかったかというと、MGMニュージカルの名場面を集めた“That's Entertaiment”、その主題歌こそこの「バンド・ワゴン」で冒頭と最後に歌われるナンバーなのですから。

昔はミュージカルの大スターだったものの、時代も変わって落ち目となったダンサーのトニー・ハンターをフレッド・アステアが演じます。
再び舞台に挑戦する機会が与えられたものの、演出家は奇抜な場面ばかり作ろうとするし、ダンスの相手役はバレリーナのガブリエル(シド・チャリシー)と戸惑うことばかり。
率直に言ってこの映画、ストーリィ自体はそれ程のものではない。それより、多彩なダンスシーンこそこの映画の真骨頂です。
アステアとシド・チャリシーのダンスはとても美しい。そして単に美しいというだけでなく、ソフトなダンスシーンとハードなダンスシーンと両方楽しめるという見応えあり。
その一方で、ジャック・ブキャナンあるいはオスカー・レヴェントとナネット・ファブレイと組んでの唄・踊りはコミカルな味を楽しめます。

“That's Entertaiment”の場面と、三つ子の赤ん坊に扮した場面はミュージカルの名シーンといって間違いなし。
さらに、この映画の中では「バンド・ワゴン」という劇中劇ならぬミュージカル中ミュージカルが演じられるのですが、その最後を飾る「殺人ミステリ」と名づけられたショー場面がとても面白い。シド・チャリシーとのハードなダンスはこの中で演じられます。
ミュージカル・ファンなら嬉しくなるような多彩な名場面を一作で楽しめるという、贅沢な作品です。お薦め。

※アステアとシド・チャリシーというだけなら、私は「絹の靴下」の方が好きです。
※本作品では、シド・チャリシーよりナネット・ファブレイの方が私はお気に入り。明るく楽しい雰囲気が感じられるミュージカル女優です。

2007.01.03

  
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