“二十四の瞳” ★★★
(1954年日本映画)

監督:木下恵介
原作:壺井栄
脚本:木下恵介
出演:高峰秀子、天本英世、夏川静江、笠智衆、浦辺粂子、清川虹子、浪花千栄子、田村高廣

上映時間:156分

     

このところ高峰秀子さん、斎藤明美さんのエッセイを読んで、高峰秀子さんという人物に強く惹かれたのですが、その高峰さんの主演した映画を観たことがありません。是非観たいと思ってまず借りたのが、本作品。

何しろ私が生まれる前年に制作された映画、さらに時代設定が昭和3年ということもあって、画面に現れる日本の風景が(瀬戸内海の小豆島が舞台であるにせよ)今とは全く異なる、というのが第一印象。次いで、とにかく空が広い、世界が広い、という印象が続きます。
そして、昔の着物姿の子供たちが大勢登場し、その中の洋服姿の新任教師、大石先生が自転車に乗って颯爽と駆け抜けていくシーンから本映画は始まります。

時代は遥か昔という風、肝腎の高峰秀子さんの演技はというと、すぐにはどうとも言えません。
しかし、いつの間にか引き込まれ、胸いっぱい、涙ぼろぼろ、「二十四の瞳」ってこんな反戦映画の面も持っていたのか、と認識した次第。
主演の高峰秀子は20代の若々しい大石先生から、40代になり家族を何人も失った経験をもつ涙もろい大石先生までを時代の変化と共に演じているのですが、まさに名演技。また、歯切れの良い女優さんだったのだなぁと感じました。子役時代からずっと第一線で女優として活躍し続けていたというのは凄いことですが、そんな点が高峰秀子さんの女優としての魅力だったのではないかと思います。

古い映画であっても、名作はいつの時代になっても名作であることに変わりはない、と再認識した思いです。

※なお、驚いたのは学校に入学したばかりの子供たち、5年後、8年後の子供たちがよく似ていること。まさか同じ子供たちが演じている訳はないよなと思ったのですが、本作品を作るに当たり全国からよく似た兄弟、姉妹を募集して、3600組7200人の子供たちの中から12組24人を選んだのだそうです。

2012.01.29

amazon.co.jp

 


 

to 映画note Top     to クラシック映画 Index