“キス・ミー・ケイト ★★★
KISS ME KATE
(1953年アメリカ映画)

監督:ジョージ・シドニー
脚本:ドロシー・キングスレイ
出演:キャスリン・グレイソン、ハワード・キール、アン・ミラー、トミイ・ラル、ボブ・フォッシー

    

シェイクスピアじゃじゃ馬ならし」のミュージカル映画化という触れ込みですが、実態はちと違う。

ミュージカル役者のフレッドは、「じゃじゃ馬ならし」のミュージカル劇「キス・ミー・ケイト」の上演を計画していて、相手役のキャタリーナ役に離婚した元妻リリーを選ぶ。
実はこの2人、離婚したもののお互いにまだ未練たっぷりという設定。
したがって、「じゃじゃ馬ならし」はあくまで劇中劇なのですが、フレッドとリリーの諍いが舞台にまで持ち込まれ、それがぴったりペトルーキオとキャタリーナの筋書き上の争いにぴったり嵌ってしまうというところが楽しい。

主役のハワード・キリー、キャサリン・グレイソンとも歌唱力は充分なのですが、踊れないところが惜しい。
そこを補っているのが、準主役のビアンカ役となるダンサーのルイス役であるアン・ミラー。ダンスについては、彼女が主役の2人を食う勢いで頑張っています。
でも、ダンスについてはアン・ミラーだけでなく、ルイスの恋人ビル役であるトミィ・ラルがアン・ミラーと組んで踊るダンス・シーン、ビアンカの結婚後男女3人ずつ、計6人によるダンス・シーンも斬新で、見ていて楽しい。
中でも異彩を放っているのは、デビュー作となったボブ・フォッシーの踊り。
「ザッツ・エンターテイメント」では、このボブ・フォッシーのダンス場面が取り上げられていて、有名なシーンになっています。
ダンス・シーンに加えて面白いのが、借金取立てに現れたギャング2人によるスラップスティックな面白さ。

ハワード・キールはペトルーキオ役がお似合いですが、キャサリン・グレイスン、冒頭厚化粧に驚くほどですが、キャタリーナ役としてはかなり線が細い印象を受けます。それでも見終わってみれば、そう違和感も感じなくなりましたが。
本作品への評価がちょっと高いのは、「じゃじゃ馬ならし」が私の好きな作品だから。劇中劇でごく一部しか演じられないとはいうものの、やはりこれは楽しい劇です。
本作品では、振付師ハーミーズ・パンの采配がお見事。数々のダンス・シーンが記憶に残る作品です。

2005.08.15

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