“銀座カンカン娘” ★★
(1949年日本映画)

監督:島耕二
脚本:山本嘉次郎、中田晴康
出演:高峰秀子、笠置シヅ子、灰田勝彦、古今亭志ん生、
浦辺粂子、岸井明
上映時間:68分

      

先に観た3作と異なり、本作品は軽妙でコミカルな作品。

引退した落語家の家の2階に居候として転がり込んだ娘2人。
お春(笠置シヅ子)は音楽志望でピアノを買いたい、お秋(高峰秀子)は画家志望で絵具が買いたい、けれどもすっからかんで着るものにさえ難儀しているという状況。
たまたま映画ロケにエキストラとして出演、その縁で知り合ったのが一応ミュージシャンの白井。お金を稼ぐため白井の誘いにのった二人は、白井とともに銀座のバーを流しとして歌って回ることになります。
そこでお秋が中心となって歌うのが「銀座カンカン娘」という次第。
また、歌手の灰田勝彦がお秋の恋人役として出演しているだけに本作品、登場人物たちが歌を歌う場面が満載、コミカル+音楽映画という仕上がりになっています。お春、お秋、年中歌っていてやかましくて仕方ないと浦辺粂子がこぼすくらいですから。

それにしても高峰秀子さん、コミカルな演技もツボにはまっていて、本当に上手い! おまけに歌も本職はだしですし。真に芸達者なんですね、この人は。

また、高峰秀子、笠置シヅ子以外にも見逃せない箇所が次の2つ。
ひとつはドタバタコメディ風のもじり。太った白井が落語家の家に来るたび、家のあちこちに掛かっているモノが落ちてくるという場面、当時の安普請な借家を揶揄しているようで、笑っちゃいます。
もうひとつは、昭和の名人と言われる五代目古今亭志ん生(1890〜1973)が出演していること。最初、いくら落語家の設定とはいえそう演技が上手いとも思えないのに何で出演しているのかと思ったのです。ところが、最後、お祝いの席で志ん生がなんとなく小咄を始めるのですが、普通に聞き流していたら徐々にどんどん面白くなって、最後はすっかり取り込まれて笑っていました。これも見逃せない部分です。

古い映画ですが、映画のロケ場面や、まるで田んぼの中の一軒家という風も面白く、一旦観だしてしまえば、今見ても十分面白い作品です。もちろん、高峰秀子さん演じるお秋もまた魅力的。

2012.02.19

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