“踊るニューヨーク” ★★★
Broadway Melody of 1940
(1940年アメリカ映画 MGM)

監督:ノーマン・タウログ  音楽:コール・ポーター 
主演:フレッド・アステア、エレノア・パウエル

 

アステア・ファンの方から頂いたビデオで観た作品。
この作品は、アステアが主演したMGM最初のミュージカルであり、同時にジンジャー・ロジャースとのコンビを解消した後の初めてのミュージカルでもあります。
結論から言うと、文句なし。改めてフレッド・アステアの素晴らしい魅力を感じました。
今回の相手役は、エレノア・パウエル。ジンジャー・ロジャースと異なり、パウエルのタップはパワフルかつダイナミックです。そのためもあって、アステアとのダンスに新鮮な印象を受けました。また、アステアの魅力を十二分に引き出すもので、アステアが完全に息を吹き返した、と感じさせられました。
ただ、アステア&ロジャース・コンビのミュージカルをずっと見てきてその後にこの作品を観ると、アステア・ロジャースのコンビもまた必要なものであったし、ロジャースとのコンビ解消後再びコンビを組む相手をアステアが見出さなかった、というのも当然のことと感じます。コンビを組むとお互いに拘束しあってしまうし、息の合ったコンビというのは中々成立し得ないものでしょう。本作品のエレノア・パウエルとのダンスを見ても、一度であれば成功するものの、もう一度繰り返すとなると、お互いの個性がぶつかって難しいだろうと、やはり思います。

ストーリィは、売れない男性ダンサー2人組のうち、アステア演じるジョニー・ブレットが目に止められスカウトを受けますが、借金の取立屋と勘違いして会い方であるキング・ショーの名を名乗った事から、そのキング・ショーがパウエル演じるクレア・ベネットの相手役として主役に大抜擢を受ける、ことから始まります。ミュージカル=ハッピー・エンドですからわざわざ筋を言う事もないと思いますが、アステアがクレアの写真を抱いて一人踊るシーンは、さすがに魅力いっぱいです。
冒頭では、MGMのダンサーであるジョージ・マーフィーと男性2人で踊るシーンがあります。アステアにとっては珍しいことだそうです。そして、圧巻のダンスは、最後アステアとパウエルが火花を散らすように競い合って踊る“ビギン・ザ・ビギン”。
アステアは、この作品によって、ジンジャー抜きで映画キャリアを続ける自信をもてたということですが、それも当然、という出来栄えです。

2001.05.06

 


 

to 映画note Top     to クラシック映画 Index