“ターン Turn★★☆
(日本映画)

監督:平山秀幸
原作:北村薫
出演:牧瀬里穂、中村勘太郎、倍償美津子

 

北村薫“時と人”三部作の第2作目「ターン」の映画化です。
原作とちょっと印象が異なるところもありますが、これはこれで良い作品です。

主人公・真希がトラックとの衝突事故により、時間の繰り返しの中にただ一人取り残されるというストーリィ。ですから、登場人物は限られています。
したがって、良い作品ですけれど、ストーリィに大きな起伏がある訳でもなく、静かで地味な作品と言えます。
私としてはこの映画を観る前に、原作を読んでみることをお薦めします。
だからといって、原作を読まないまま見ると面白くない、ということではありません。映画だけでも、このままで充分楽しめる作品です。

原作に比べてちょっと不満なのは、真希の相手役として登場するイラストレーター・泉役の中村勘太郎の存在感が薄いこと。母親役の倍償美津子に喰われているところがあります。
“時と人”三部作はどれもラブ・ストーリィという伏線をもっています。映画ではその必然性があまり感じられないのが、残念。
幕切れにおける真希のひとこと、本来泉への呼びかけの筈なのですが、宙に浮いてしまっている感じ。これは解釈の違い故なのかもしれません。
一方、真希の仕事であるメゾチントがどんなものか、現物として見れる点、これは原作より映画が勝っています。
原作を読んだ方には、是非見ることをお薦めします。

2002.05.24

   
  → 原作:「ターン」
 


  

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