“それでもボクはやってない” ★★☆
(2007年日本映画)

監督:周防正行
脚本:周防正行
出演:
加瀬
亮、瀬戸朝香、役所広司、山本耕史、もたいまさこ、尾美としのり

 

世の男性、とくに混雑する通勤電車を利用するサラリーマン男性がひそかに恐れるのは痴漢に間違われることではないか、とかねてから思っていました。
本映画は、そんな痴漢冤罪事件を扱った作品です。

フリーターの金子徹平は会社面接に向かう途中、電車から降りたところを女子高生から痴漢だと腕をつかまれます。そのまま彼は、駅事務所、警察、拘置所、検察庁と引きまわれますが、誰も彼の言うことを聞いてくれない。誰もが、彼が痴漢行為をしたと最初から決め付けている。
そもそも痴漢という犯罪、具体的な証拠などあろう筈がなく、被害者の女性の声がすべてというぐらい重く扱われてしまう。
実際、痴漢冤罪事件というのはあるのだろうと思います。

本書の見処は、普段知ることもない刑事起訴の段取りを知ることができること、いったん警察に犯人だと決め付けられてしまったら最後それを覆すのは至難のことであること。
そして、裁判とは有罪か無罪かを公平に見極めるものでは必ずしもなく、ときによって検察側に加担し、有罪にすべく捻じ曲げた事実解釈を行なうこともある、ということ。
この辺り、徹平の弁護を引受けた、役所広司演じる弁護士の説明がよく事実を伝えていると思いました。
私自身にもいつ降りかかって来ないとも限らない冤罪事件、目を凝らして観てしまいました。

本作品の主人公の場合は冤罪ですが、実際痴漢行為は多いのだろうなぁと思います。被害にあった女性が味わう屈辱的な思いもさぞや、と思います。
そういえば、私自身はそうした痴漢騒ぎに出くわしたことはないなぁ・・・。
就職して以来、いつも出勤時間が早いのでぎゅうぎゅうに混みあう通勤電車に乗るという経験が殆どないからか、と思い当たりました。
本作品を観た後、そのことに思わず、ホッ。

2007.08.12

    


  

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