“しゃべれどもしゃべれども” ★★
(2007年日本映画)

監督:平山秀幸
原作:佐藤多佳子
脚本:奥寺佐渡子
出演:
国分太一、香里奈、森永悠希、松重豊、伊東四朗、八千草薫

 

まだ二つ目の今昔亭三つ葉は、古典落語にこだわる、現代では珍しいタイプの若手落語家。その三つ葉はひょんなことから、話すことが苦手な3人に落語を教える羽目になります。
その3人とは、美人だけれど無愛想で口下手な十河五月、大阪から引っ越して関西弁をからかわれている小学生・村林優、話すことが苦手で野球解説者の仕事に支障をきたしている元野球選手・湯河原太一。
下町を舞台に、不器用な人間たちがそれでも一生懸命になんとかしようと頑張る姿を描いた心温まるストーリィ。
不器用なのは何もその3人だけではありません。古典落語にこだわり、いつも着物姿で通している三つ葉自身も、不器用な生き方しかできない一人なのです。

原作に比べると細かな部分が描ききれていない、省かれている面はありますが(映画という時間的制約のため)、その一方で“しゃべる”という本作品のモチーフは原作より映画だからこそはっきり描かれるというプラス面もあります。映画は映画なりによくまとまっていて楽しかった。

いずれにせよ、不器用な人間たちが少しずつでも前に進もうとする姿は、観ていて兎にも角にも気持ち良く、楽しい。
なにも派手でアイデア盛り沢山でドラマチックなストーリィだけが楽しいものではないのです。むしろこうした身近なストーリィこそ、素直に楽しめるというものでしょう。
同じ落語ネタでもしゃべる人間によって随分と異なる話になるものですし、面白くもつまらなくもなる、そんな点を味わえるのも本作品の魅力のひとつです。
それにしても、八千草薫さんのしゃべりが一番上手だったように思うのは私だけでしょうか。

2007.06.21

 
 → 原作:「しゃべれどもしゃべれども

  


  

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