“マイスモールランド ★★★
(2022年日本映画)

監督:川和田恵真
脚本:川和田恵真
出演:嵐莉菜、奥平大兼、アラシ・カーフィザデー、リリ・カーフィザデー、リオン・カーフィザデー、平泉成、サヘル・ローズ、藤井隆、小倉一郎

  

埼玉県川口に父親と中学生の妹、小学生の弟と暮らす17歳のクルド人少女の置かれて厳しい状況を語ったストーリィ。

故国での迫害から逃れる父親に連れられ、幼い頃に日本に移住。
高校に通うサーリャの日常は、同級生たちと特に変わりはありません。異なる点といえば、同じクルド人グループとの交流くらいでしょうか。
成績優秀で、小学校教諭になりたいという夢をもって大学進学を志し、父親に内緒でコンビニでバイトをし、お金を貯めている。そして、コンビニのバイト仲間である同学年生と淡い恋の気配もある。

しかし、父親の難民申請が不許可になったことから、彼女一家の生活は一転してしまいます。
ビザも取り消されたことから、働くことが認められず、また埼玉県から許可なしに他の都道府県へ行くことも禁止。ビザがないから志望大学への入学も認められない・・・。

しかし、働くことが許さない、というのはどういうことなのでしょうか。
稼がなければ家族が暮らす糧も得られなくなる。謂わば兵糧攻めで帰国させようということなのでしょうか。でも、子供たちは日本で育ち、そこに生活基盤があるのに・・・。

移民問題にはいろいろな要素があるのでしょう。ですから一面だけを見て是非を決めることはできませんが、スリランカ女性ウィシュマ・サンダマリさんの事件といい、中島京子さんの小説「やさしい猫」といい、非人道的な扱いまで許すべきではないと感じます。
すべての希望をむしり取るような、そんな政治は如何なものでしょうか。

日本における移民問題、難民問題の是正を、心から願います。
これの問題を考えていくうえでも、本作は是非お薦め。

2022.05.07

                     


  

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