舞妓はレディ ★★☆
(2014年日本映画)

監督:周防正行
脚本:周防正行
出演:上白石萌音(もね)、長谷川博巳、富士純子、田畑智子、草刈民代、渡辺えり、竹中直人、高嶋政宏、濱田岳、岸部一徳、高橋長英、松井珠理奈

 

田舎から舞妓になることを夢見て京都の老舗お茶屋をいきなり訪ねてきた娘が、厳しい試練を越えて舞妓になるまでを描いた作品。
周防監督作品という点にも興味はありましたが、何よりミュージカル仕立てというところに惹かれて観に行きました。

「舞妓はレディ」という題名をちと奇妙と感じていましたが、まさか名作ミュージカルをもじった題名とは全く気付きませんでした。
主人公の西郷春子、鹿児島と津軽で育ったため、鹿児島弁と津軽弁が入り混じった強い訛り。あんなひどい訛りでは舞妓になるなんて到底無理と言い放った老舗呉服屋社長の一言に食いついたのが、長谷川博巳演じる言語学者の京野法嗣、自分が訛りを修正して京言葉を話せるようにしてみせると明言し、2人の賭けが成立。
訛り、言語学者とくればすぐ判ります。ジュリー・アンドリューズとオードリー・ヘップバーンが主演した名作ミュージカル「マイ・フェア・レディ」(原作はB・ショー「ピグマリオン」)が原型であることに。
といってそのままロンドンを京に置き換えた訳ではなく、ところどころ「マイ・フェア」のもじりであるところがファンとしては嬉しい。
例えば、主人公と言語学者が一緒に歌う「スペインの雨」ならぬ「京都の雨」とか。
主人公の春子を囲む俳優陣も、茶屋「万寿楽」の女将に富士純子、先輩芸妓の里春(さとはる)に草刈民代、舞台となる下八軒(しもはちけん)に舞妓が1人しかいないという理由で10年経つというのに未だ舞妓を卒業させてもらえないでいる百春(ももはる)に田畑智子と贅沢な布陣で、観応えたっぷり。
「Shall we ダンス?」の渡辺えり子(豆春役)、竹中直人は、登場させる必要があったのかなとは少々感じるものの、相変わらず騒がしくストーリィを盛り立てています。

とにかくミュージカル仕立てであるところが楽しい限り。
主人公=春子(小春)役の上白石萌音はオーディションで抜擢した新人とのことですが、歌・踊りを含め見事に春子を演じていて、感心することしきり。
こうした楽しい作品が生み出せるとは、日本映画も捨てたもんじゃない、と感じた次第です。楽しいミュージカルが好きな方には、是非お薦め。

2014.09.15

              


  

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