“駆込み女と駆出し男 ★★☆
(2015年日本映画)

監督:原田眞人
原案:井上ひさし(「東慶寺花だより」)
脚本:原田眞人
出演:
大泉洋、戸田恵梨香、満島ひかり、内山理名、陽月華、中村嘉葎雄、樹木希林、堤真一、山崎努

 

江戸時代、女房が亭主と別れる手段として設けられた通称“駆け込み寺”の鎌倉・東慶寺を舞台にした時代ストーリィ。
井上ひさし「東慶寺花だより」が原案とのこと。

普通“原作”という言葉はよく耳にしますが、“原案”というのは珍しい。
井上ひさし作品から舞台設定、主人公のキャラクター、一部女性のキャラクターを借りてはいるものの、ストーリィとしてはオリジナルと言うべきだからでしょう。
稼業である鉄練りに奮闘しているため顔に火ぶくれが絶えない女房のじょごを馬鹿にして、亭主は浮気三昧。希望を失って東慶寺への駆け込みを決めたじょご。そして、妾という立場ながら江戸で繁盛する大店の采配を振るっているお吟、訳有って女剣士の格好で駆け込もうとしたゆう、という3人のドラマが中心。
彼女たちを受け止めるのが、医者見習いかつ戯作者見習いで禁制厳しい江戸から逃げてきた中村信次郎と、駆込み女たちの身元調査を行う御用宿の三代目柏屋源兵衛という面々。

信次郎を演じる大泉洋の達者で軽妙な演技も楽しめますが、それ以上の見処は、じょごを演じる戸田恵梨香、ご吟を演じる満島ひかり、ゆうを演じる内山理名、そして東慶寺の院代で女たちを守ろうとする法秀尼を演じる陽月華といった、若手女優たちのお互いに張り合うかのような熱演にあります。まさに観応え充分、それだけでも本作品を観る価値あり、です。

2015.05.16

      


  

 to 映画note Top     to 最近の映画 Index