“フラガール” ★★★
(2006年日本映画)

監督:李相日
脚本:李相日、羽原大介
出演:松雪泰子、豊川悦司、蒼井優、山崎静代、岸部一徳、富司純子

 

昭和40年の炭坑の町・福島県いわき市。炭坑の規模縮小による炭鉱夫の解雇が続き、町は停滞していた。
起死回生のプロジェクトとして計画されたのが“常磐ハイワイアンセンター(現・スパリゾートハワイアンズ)”。
今から思えば村おこしテーマパークの先陣だったのでしょうけれど、炭坑縮小の補完として計画されたことからフラダンスショーのダンサーをあくまで地元の女性たちから募集しようとしたその姿勢が素晴らしかったと思います。
当然素人ですから、東京から元SKD(松竹歌劇団)のダンサー・平山まどかを招聘しますが、その平山まどかはとんだ酔っ払い。彼女にはそれなりの事情もあったのでしょうけれど、教える側のまどか、教わる側の素人娘たちとの葛藤を軸にストーリィは展開していきます。

冒頭、画面は白黒の炭鉱町。昭和30年代に鋳物の町・埼玉県川口市を舞台にした名作「キューポラのある街」を偲ばせます。
本作品は「キューポラ」に増して、“旧”と“新”との対立が鮮明です。
片や真っ黒な顔をした炭坑夫たち。親の世代には黒いダイヤモンドと言われ稼ぎ放題だったのに、今は先の希望もみえない衰退産業。一方、若々しい娘たちの衣装はカラフルでこれからの“レジャー”産業を開拓しようという熱気に溢れています。
この2つを単なる新旧交代ではなく、否応ない時代の流れ、その哀しみ、そして一方があったからこそもう一方が生まれたのだという時代の構図を明確に描きだしているところが見事です。
なお、3ヶ月に亘り猛特訓を積んだという出演者たちによるフラダンス・シーンも圧巻。見応えあります。

※ずっと以前、土日を使っての社内旅行が恒例的に行われていた頃。在籍した部署が都内の南の方だった所為か、伊豆方面ばかりでした。一度くらい、常磐ハワイアンセンターに行ってみても良かったなァと思いました。

2007.04.15

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