ブロニー・ウェア著作のページ


Bronnie Ware  オーストラリア生まれ。緩和ケアの介護を長年つとめ、数多くの患者を看取った。その経験を基にして書いたブログが大きな注目を集め、それをまとめた「死ぬ瞬間の5つの後悔」は26ヶ国語で翻訳され、世界中で読まれている。

 


 

「死ぬ瞬間の5つの後悔」 ★☆
 
原題:"THE TOP FIVE REGRETS OF THE DYING"
     訳:仁木めぐみ

 

 
2011年発表

2012年12月
新潮社刊
(1600円+税)

  

2012/01/21

  

amazon.co.jp

著者は、オーストラリアの牧場に生まれ、金融機関勤務を経て、英国等欧州各地での暮らし、様々な仕事を経験した後、余命わずかな患者の終末ケア(在宅)の仕事に従事し、多くの患者を看取った経験をもつのだそうです。
その経験を元に自身のブログ“Inspiration and Chai”に
「死ぬ瞬間の5つの後悔」という文章を載せたところ、ネット上で徐々に評判となり1年間で 300万人以上の人に読まれたのだとか。
本書はさらに、自身の波乱万丈な経験や思い出や看取った人たちとの交流を通じて、人生、生き方について学び、考察した処を語った一冊。
 
冒頭、終末ケアの仕事に至るまでの様々な著者の道のりが語られており、著者の半生記(四半生記かも)と言っても良い内容になっています。それでも中心となるのは終末ケアという仕事を通じて、様々な患者と交流した体験記。
著者にとってはようやく巡り合った天職という風なのですが、それでもやはり余命わずかな患者に心身共に寄り添い、その後悔の言葉を聞き、最後を世話するという仕事はかなり重い。
現に筆者はある時期、“心が折れた”という状況になったと言います。

本書で語られる“後悔”、いかにも欧米的、キリスト教的だなぁと感じました。
良き人間でいなくてはならない、でもそうではなかったから後悔し、悔い改める、という雰囲気を感じるのです。
私は経験ないので想像するだけですが、日本人だったらもっとシンプルに、諦念的に抱えようとするのではないでしょうか。あるいは詫びる、悔むという簡単な方向へ向かうのではないかと感じます。
各章の表題ともなっている様々な“後悔”、いずれも納得できるものですが、何やら窮屈、そんな思いを禁じ得ませんでした。

 
プロローグ:人生は転換する/ヘルパーになるまで/後悔1.自分に正直な人生を生きればよかった/後悔2.働きすぎなければよかった/後悔3.思い切って自分の気持ちを伝えればよかった/後悔4.友人と連絡を取り続ければよかった/後悔5.幸せをあきらめなければよかった/その後/エピローグ:微笑みとともに知る

    


   

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