リン・ティルマン著作のページ


Lynne Tillman   米国ニューヨーク在住の作家。著書に「憑かれた女たち」等。

 


 

●「ブックストア−ニューヨークで最も愛された書店−」● ★☆  訳:宮家あゆみ
  
原題:"BOOKSTORE-The LIfe and Times of jeannette Wason and Books & Co."




1999年発表

2003年1月
晶文社
(2500円+税)

 

2003/02/15

ニューヨークのアッパーイーストサイドに実在した、個性的な書店の20年にわたる軌跡を綴った一冊。
その書店の名は“ブックス・アンド・カンパニー”
書店経営の素人だったジャネット・ワトソンが、オーナーとなって、良心的な書店を作りたいと始めた店。
1階には古今の名作文学を網羅した書棚を設け、2階には居心地の良い雰囲気が漂う。
作家と読者を仲介する家庭的な雰囲気を喜び、幾多の作家たちもその店を訪れ、写真に収まり、朗読もしたとのこと。例えば、ポール・オースター、スーザン・ソンタグ、ニール・サイモン、バーナード・マラマッド等。また、ダスティン・ホフマン、マイケル・ジャクソンまで訪れたとのこと。
そんな書店を、ジャネット・ワトソンの回想に、関係者たちの証言を随時挿入し、閉店するまでの20年間が語っていきます。

個性的かつ貴重な存在の書店だったということを頭では理解できますが、実感としてもうひとつ湧かない。それは、日米の書店事情の差にあると思います。
アメリカでは、相当期間経過した本は、デイスカウントされるらしい。そこにチェーン店が跋扈し、その分独立系の書店が経営的に立ち行かなくなっている、という事情があるようです。その辺りの事情を判っていないと、本書は実感しづらい。
本には、値段だけでは表せない価値がある。いみじくもそれを語った一冊と言えます。

 


   

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