フィリップ・プレイト著作のページ


Philip Plait 天文学者。ヴァージニア大学で天文学のPh.D.取得。COBE衛星やハップル宇宙望遠鏡などでのミッションに従事。2000年から2007年にかけてカリフォルニア州にあるソノマ州立大学にて宇宙物理学・天文学部門で研究を行う傍ら、ガンマ線宇宙望遠鏡をはじめとするNASAの研究活動の広報を行う。

 


    

●「宇宙(そら)から恐怖がやってくる!−地球滅亡9つのシナリオ−」● ★★
 原題:"Death From The Skies!"           訳:斎藤隆央

 
宇宙から恐怖がやってくる画像

 
2010年03月
NHK出版刊
(2000円+税)

 

2010/04/17

 

amazon.co.jp

SF小説をはるかに超えた壮大なスペース・オペラ。

人命の危機、地球環境の危機、地球自体の危機、太陽の危機、太陽系のそして銀河系の危機、・・・・。
結果的に地球が滅亡する9つのシナリオを、やさしく、しか天文学的に、そして懐を大きくして語った本。

本書における主人公は、もはや人間でも宇宙人でも宇宙船でもなく、数多ある星々、それも巨大な恒星たち、究極的には銀河系そのものが主役。
冒頭、小惑星や彗星が地球に衝突する可能性を語った「ターゲットは地球」は、まさに山本弘「地球移動作戦の世界。SF小説で読んだ所為か、リアル感がありました。
そして、ガンマ線による危機。1997年に観測されたGBR(ガンマ線バースト)は、何と90億光年という気が遠くなるような距離から飛んできたのだという(宇宙の果て迄の距離の半分以上とか)。
章を追う毎に、主役は、スケールはどんどん大きくなっていきます。
太陽が、地球を丸焼きにしてしまう赤色巨星になるのは数十億年後・・・・、我々が属する銀河系の全恒星が死に絶えるのは数十兆年後、という。
それを著者は、我々が将来目撃できると言わんばかりに語っていくのです。
時間の観念がどんどん狂っていったからといって、何ら不思議ではありません(笑)。そして時折ジョークを織り込む著者の語り口、結構愉快なのです。

天文学上の研究を元にきちん、かつ面白く解説した分厚い一冊ですから、理工系の方なら苦にされないのかもしれませんが、文系の私としては頭がついていけなくなってしまうことも度々。
でも気にすることはありません、どんどん飛ばし読みしてしまえばいいのですから。飛ばし読みしてもポイントを外さなければ、本書の面白さを十分味わうことができます。
そして、著者の理知的でユーモラスなジョークも。

ターゲットは地球−小惑星や彗星の衝突/太陽に焼かれて/超新星の脅威/宇宙の溶接パートナー−ガンマ線バースト/底なしの穴、ブラックホール/エイリアン・アタック!/太陽の死/ブライト・ライツ、ビッグ・ギャラクシー/すべての終わり

 


  

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