●「ローマ帝国衰亡史・第10巻」●

 

56〜63章

840-1352年

 

1994/06/05

本巻では、十字軍によるラテン帝国の成立、その後のギリシア帝国の復活、ギリシア帝国の一公国への衰退が語られています。
ギボンの視点という問題点もあるのですが、上記変遷も、皇帝位に就いた人間達の個人的性格によってもたらされたような気がします。その分、読み物としては面白いのですが。
まず、皇帝位継承について帝国内部で対立が生じ、その過程で第4次十字軍をコンスタンティノポリスへ呼び入れることとなりました。それによって、ラテン人の首都駐留という事態に至ります。
そこにおいて、ローマ法王との対立、ラテン人とギリシア人の文化的対立が生じ、更にラテン人排斥の動きとなります。その結果ラテン人が勝利し、ラテン人の君臨が始まり、
ラテン帝国の成立に至ります。
一方、アジア側においては、ギリシア人による
ニカエア帝国が存続し、後ラテン人たちを圧倒し、東ローマ帝国の復活となります。
ラテン皇帝は計5人。1204年から61年まで57年間と半世紀続いたことを思うと、一時的占領とは決して思えません。
1261年、ギリシア人皇帝が復活するわけですが、その後一公国としての存在まで勢力が衰退するといっても、紀元前に始まった帝国が、13世紀まで存続していること自体、ローマ帝国の偉大さを感じざるをえません。

 

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