ショーン・バイセル著作のページ


Shaun Bythell 英国スコットランドのウィグタウン生。大学進学で故郷を離れるが、30歳の時帰省中に立ち寄った老舗古書店<The Book Shop> を衝動買いしてしまう。現在は、国内で書店の町として知られるウィグタウンで、ブックフェスティバルの主催者も務める。

 


    

「ブックセラーズ・ダイアリー−スコットランド最大の古書店の一年− ★★ 
 原題:"The Diary of a Bookseller"    訳:矢倉尚子


ブックセラーズ・ダイアリー

2017年発行

2021年08月
白水社
(3000円+税)



2021/09/27



amazon.co.jp

1960年代、スコットランド政府が地方都市再生のために打ち出したのが“ブックタウン構想”。そしてそのブックタウンに指名されたのが、ウィグタウン
2001年、著者の
ショーン・バイセルは生まれ故郷のウィグタウンにクリスマス帰省中、ふらりと入った古書店で、店主から引退したいのでこの店を買い取ってくれないかと声を掛けられ、銀行ローンを組んで衝動的に古書店主となります。
それから20年、<
The Book Shop>は10万冊の在庫を擁するスコットランド最大の古書店となり、ウィグタウンには世界中から本を愛する観光客が訪れるようになった、とのこと。

本書は、著者が2014年02月から1年に亘って書き綴った日記をまとめて刊行したものだそうです。

古書店ですから、販売もあれば買取もある、ということ。
それぞれいろいろな客が来るといっても、店頭やネットでの購入客には自分勝手なところが多いなぁと感じさせられます。
ディーコン氏のようなまともな客もいるのでしょうけれど、自分勝手な客のほうが目立ってしまいますから。
そして、値決めにあたっては、アマゾンが提示している最低価格を無視できず、購入客の中にもアマゾン価格と見比べる人がいると、ネット社会での古書店運営には苦労が多いようです。
また、
ニッキーという中年女性のように、有能ではあっても店主の言うことを中々聞かない、という店員もいるようですし。

仕事内容は単純、と言えるのかもしれませんが、中々誰にでもできる、誰にでも向く商売ではないと感じる次第です。

※本書中で、1679年刊行の「デカメロン」が売れたという話を読むと、何やら嬉しくなりました。

※続編として、"Confessions of a Bookseller(ある古書店主の告白)"、"Seven Kinds of People You Find in Booksshops(古書店で出会う七種類の人たち)"が刊行されているとのこと。 

 


  

to Top Page     to 海外エッセイ等 Index