吉村達也作品のページ


1952年東京都出身。一橋大学商学部卒業後ニッポン放送入社、制作部ディレクターとして「オールナイトニッポン」等を担当。扶桑社に出向後は書籍編集部編集長として数々のヒットを手掛ける。86年「Kの悲劇」にて作家デビュー。90年から専業作家。「蛍坂」が記念すべき 200冊目の作品。

  


    

●「蛍 坂」● ★★


蛍坂画像

2009年10月
ワニブックス
(1500円+税)

 

2010/01/09

 

amazon.co.jp

主人公の上原仁美、22歳の誕生日の前日、恋人の大崎誠から突然別れを切り出される。母親が頼んだ占いで2人は別れた方がいいと言われたからと。
絶望して自殺を図った仁美、命はとりとめたものの、さらに大きな悲劇が仁美を襲う。すべて自分の所為と思い込み悲嘆にくれる仁美を救ってくれたのは、祖母の菊江が勧めてくれた、彼女の故郷にある“蛍坂”という場所を訪ねること。

その場所で忘れられないような体験をした仁美は、癒され、京都に移り住みカメラマンとして歩み始めますが、頼まれてカメラのシャッターを押すと相手の不幸な未来が見えてしまうという、信じ難い能力が自分に備わっていることに気付きます。

そんな仁美がどう自分の歩むべき道を選び、つかみ取り、再生していくのか、というストーリィ。
しかし、すぐ目の前にある展開は、スリリングでスピーディ。目が離せず、どっぷりとストーリィに嵌ります。

ファンタジーでスリリング、そして一方では、家族の愛情、密かな恋が描かれていきます。
多少不自然なところはありますが、多様な面白さをきちっと盛り込んだ本作品、惹きつけて止まない面白さを備えていることに文句なし、充分満足です。

 


  

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