吉田修一作品のページ No.1


1968年長崎県生、法政大学経営学部卒。97年「最後の息子」にて第84回文学界新人賞、2002年「パレード」にて第15回山本周五郎賞、同年「パーク・ライフ」にて 第127回芥川賞、07年「悪人」にて第61回毎日出版文化賞および第34回大仏次郎賞、10年「横道世之介」にて第23回柴田錬三郎賞、19年「国宝」にて第69回芸術選奨文部科学大臣賞と第14回中央公論文芸賞を受賞。


1.
パレード

2.パーク・ライフ

3.7月24日通り

4.ひなた

5.悪人

6.静かな爆弾

7.さよなら渓谷

8.あの空の下で

9.元職員

10.キャンセルされた街の案内


横道世之介、平成猿蟹合戦図、太陽は動かない、路(ルウ)、愛に乱暴、怒り、森は知っている、橋を渡る、犯罪小説集、ウォーターゲーム

 → 吉田修一作品のページ No.2


国宝、続・横道世之介、アンジュと頭獅王、逃亡小説集、湖の女たち、オリンピックにふれる、ミス・サンシャイン、永遠と横道世之介

 → 吉田修一作品のページ No.3

 


   

1.

●「パレード」● ★★           山本周五郎賞

 
パレード画像

2002年02月
幻冬舎刊

(1600円+税)

2004年04月
幻冬舎文庫化



2002/10/25

男3人、女2人の2LDKマンションでの同居生活。
その5人が、一人ずつ順繰りに第一人称で語っていく、という構成の長篇小説です。

4人の男女共同生活なんて正常じゃない、その上どこの誰とも判らないサトルという青年まで同居を許してしてしまうなんて。
現代の無軌道な青年たちの生態を描いた小説かと思い、事実前半はそんな雰囲気だったのですが、徐々に5人5様、それでいて何故か居心地の良さを感じる展開になっていきます。
それは、4人、次いで5人という共同生活が、無いようでいて在るルールに基づいて成り立っているからこそ。
2LDKのマンションですから、お互いにプライバシーも殆どないように感じるのですが、それでいて、まるで家族のように信頼しあっている部分、お互いのハメが外れている部分を容認しあった雰囲気がそこにはあります。
各々孵化する前の一時期とも言うべき同居生活、楽しげであり、その一方で切なさもあるこのストーリィ、いつしか主人公たち一人一人に愛おしさを感じています。
それなのに、最後ではまるで予想もしない局面に向かい合うことになります。一体、読者としてはそれをどう解すれば良いのでしょう、途方にくれる思いがします。その意味でも、本作品は終わることのないストーリィ、という気がするのです。

杉本良介、21歳・H大学経済学部3年/大垣内琴美、23歳・無職/相馬未来、24歳・イラストレーター兼雑貨屋店長/小窪サトル、18歳・自称「夜のお仕事」に勤務/伊原直輝、28歳・インディペンデントの映画配給会社勤務

   

2.

●「パーク・ライフ」● ★★           芥川賞


パーク・ライフ画像

2002年08月
文芸春秋刊

(1238円+税)

2004年10月
文春文庫化


2002/10/25

中篇2作品を収録した一冊。
読んでいる途中衝撃的だったのは2作目「flowers」 の方でしたが、読了後余韻が残ってたのは、表題作の「パーク・ライフ」。誰しも心の奥底で望む出会いが、そこにあるからでしょう。

舞台は東京のまさしく都心、日比谷公園。
「パーク・ライフ」は、そこで展開される男女の出会いを描いたストーリィです。
日比谷公園という舞台が、そもそも古風な気がします。それに加えて主人公像も、現代の青年と思えないくらい素直というか、純朴な雰囲気を持っている。公園で出会った、如何にも個性的な女性に、翻弄されながら恋心が芽生えていくという風。そんな雰囲気に惹かれます。
見知らぬ男女が出会い、出会いを繰り返していくうちに、いつしか恋愛ストーリィに発展していく。その出だしの一局面を切り出したような作品、そんな印象を受けます。
そんな一篇にいつまでも心惹かれるのは、少しの贅肉もない、均整の取れた完全さを本書が備えているからでしょう。

パーク・ライフ/flowers

    

3.

●「7月24日通り」● ★★


7月24日通り画像

2004年12月
新潮社刊

(1300円+税)

2007年06月
新潮文庫化



2005/02/15

帯には「ラブ・ストーリィ」とありますが、恋愛関係を描いたストーリィというより、主人公が恋愛にどう向かい合うかを描いたストーリィと受け留めるべきでしょう。

舞台は地方のとある街、主人公はごく普通のOL、小百合です。この主人公、自分の住んでいる街をポルトガルのリスボンに見立て、ひとり楽しんでいるのが常。題名の 「7月24日通り」とは、そのリスボンにある通りの名前らしい。
小百合のその空想ぶりに本ストーリィの鍵があるのですが、その意味が判るのは最後の数ページ。それまでは、彼女の日常が語られる中で、穏やかに小百合という若い女性の人となりが浮かび上がってきます。
小百合と並び比べられるように登場するのが、2人の女性。ひとりは小百合の高校で1年上級だった亜希子。彼女は現在、小百合が勤める会社の同僚、安藤の妻となっています。もう一人は、小百合の弟・耕治の恋人であるめぐみ。ある意味、めぐみは小百合によく似た女性です。
後半、小百合の前に2人の男性が登場します。ひとりは同窓会で再会した、亜希子の元恋人で今は東京で会社勤めしている聡史。もうひとりは、偶然知り合った、警備員の仕事をしながら絵を描いている青年。
最後に小百合は2人の男性のどちらをとるかの選択を迫られることになりますが、その選択の是非より、選択を前に小百合の心に変化が生まれるところがクライマックス。それに先立つ、めぐみと小百合が率直に語り合う場面と並んで、本書の見所となる部分です。
間違った行動を敢えてしてみる、その小百合の行動に納得して称賛が贈れるようになるには、まず本ストーリィを読んでみるほかありません。
本書は、恋愛過程におけるプロローグ部分を描いたストーリィと言っていいでしょう。
これから起きるだろうドラマへの期待が膨らむようなエンディング。そこに湧き上がってくる嬉しさがあるのを感じます。

    

4.

●「ひなた」● ★★


ひなた画像

2006年01月
光文社刊

(1400円+税)



2006/04/08



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ちょっと面白い、家族小説。居心地の良さが魅力です。

夫婦2人+大学生の次男坊・尚純という大路家。
そこに長男の浩一夫婦が、嫁・桂子の希望で同居することになります。新婚夫婦が壁ひとつ向こうに同居なんてとんでもないと尚純は騒ぎますか、すんなりと同居生活は始まってしまう。
就職活動もロクにしていないその尚純にも恋人はちゃんといて、その相手・新堂レイは元ヤンキー、でも就職先は有名な外資系ファッション会社に決まったばかり。
大路家の両親も含め、登場するのはそこそこ普通といえる人物ばかり。
ただ、桂子やレイも交え、大路家に皆が集まってくるという様子が今の世の中には珍しく感じられますが、それはひとえに両親の人柄を映すように大路家が居心地良いから。
雑誌副編集長として活躍中の桂子は深夜帰宅・休日出勤当たり前の生活ですが、義母との関係もすこぶる良い。真に温かな家族風景、というのが前半。
後半になると、和気藹々として平穏そうに見える大路家の面々にも、実は人に言えない問題を一人一人抱え込んでいることが明らかにされていきます。それは家族の絆そのものを傷つけかねないこと。それでも家族の関係を大事にしようという皆の気持ちが変わらないからこそ、家族としてまとまった姿があります。
また、浩一の友人で田辺という人物が登場しますが、これが奇妙な存在。大路家に波紋を引き起こしそうな人物なのですが、何故かそれには至らない。
家族の繋がりを守らんとする。そんな気持ちがあってこそ家族というものが成り立つ。家族の原点を改めて感じさせられた思いです。
この大路家、読むからに居心地が良さそうなのです。ですから、なんとなく読んでしまっていながらも、温かくてとても気分が良い、そして居心地が良い。
「ひなた」は、大路家の雰囲気にいかにも似合った表題ですが、それよりも読んでいる最中の読み手の気分こそ「ひなた」というに似つかわしい。
レイ、尚純、桂子、浩一、それぞれ個性ある登場人物ですが、4人が代わる代わる主人公となって春夏秋冬、第一人称でストーリィを綴っていくという構成がとても楽しい。
多少のことがあっても心地良い気分に浸れる、本書はそんな作品です。

   

5.

●「悪 人」● ★★★        毎日出版文化賞・大仏次郎賞


悪人画像

2007年04月
朝日新聞社刊

(1800円+税)

2009年11月
朝日文庫化
(上下)

2021年06月
文春文庫



2008/08/17



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21歳の生命保険外交員が殺害され、遺体で発見される。
その彼女は、出会い系サイトで知り合った男たちと数多くの逢瀬を繰り返していた。
事件の容疑者とされた大学生、そして土木作業員。その2人の生い立ち、現在の境遇とも実に対照的。
そして犯人が特定されたとき、やはり彼と出会い系サイトで出会った女性は自ら彼との逃避行を選び・・・、というストーリィ。
長崎と佐賀の両県をまたいでストーリィは展開していきます。

読んでいる間は、まるでストーリィに呑み込まれたように、顔を背けることもならず。
そして読み終わった後は、被害者、容疑者、犯人各々に関わりを持つ大勢の人の思いが押し寄せてきて呆然とするばかり。
ストーリィをきっちり進めて行く一方で、事件と何らかの関わりをもつ幾人もの人たちが取材に答えるという風に、第一人称で事件の主要な人物たちについて語っていく、というのが本作品の構成。
この構成が実に効いているからこそ、各人の思いが読み手に押し寄せてくるのでしょう。
だからこそ、犯罪というのが、被害者と加害者だけでなく、被害者および加害者の家族、各々の友人、知人たちに如何に大きな波紋を投げかけてしまうかを、強く感じさせられる作品です。

犯罪はもちろん罪ですが、だからといって罪を犯した人を単純に“悪人”と言ってよいのだろうか、決め付けてよいのだろうか。
また、“悪人”というのはどんな人間のことを言うのだろうか。本作品において、誰が一番“悪人”だったのだろうか。
読み終わった後は、ストーリィの余韻よりも、そんな疑問ばかりが心に残ります。
私には、本ストーリィにおいて被害者と容疑者の方にこそ、問題があった。誰かをあえて“悪人”と呼ぶならば、犯人よりもむしろこの2人こそそう呼ぶに相応しいのではないか、と思えます。
犯人と彼と一緒に逃避行を選んだ女性の、お互い必死に縋りつくような一途な恋愛関係。報道において犯人は“極悪人”と報じられてしまうのでしょうけれど、実は彼らこそ第三者の虚栄心の犠牲となって、幸福を妨げられた側なのではないかと思うのです。

力作という言葉にまこと相応しい作品。読めたことを幸せに思います。

      

6.

●「静かな爆弾」● ★★


静かな爆弾画像

2008年02月
中央公論新社

(1300円+税)

2011年03月
中公文庫化



2008/05/21



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神宮外苑でふと出会い、恋人関係への道を踏み出した俊平響子の2人。しかし、響子は小学生の時に聴覚を失った、耳の不自由な女性だった。
本書はそんな2人の恋愛模様を描いたラブ・ストーリィ。

ラブ・ストーリィだというのに「静かな爆弾」という題名は穏やかではありません。何なのだろう?と疑問をもつのが自然なことでしょう。
不穏とまではいかないにしても、本作品は決して甘美なストーリィではありません。耳の不自由な響子は、俊平がまるで知らない世界をもつ存在であり、コミュニケーションをとることに手間がかかる彼女は、俊平にとって時に“恐れ”ともなります。

タリバンによる仏像破壊行為に何の意味があるのか、また俊平の側ばかり語られていて響子の側が殆ど何も描かれないので、どことなく釈然としない思いが残りますが、要は俊平がどれだけ響子の立場を理解しようとしたか、響子の口から出されない声をどれだけ真摯に聞こうとしたか、を問うストーリィと言って良いでしょう。
仏像破壊が何故行なわれてしまったかという問題を突き詰めたとき、初めて俊平は響子に対する自分の至らなさに気づくことになります。

ストーリィについては、いくら耳と言葉が不自由といっても過剰に反応し過ぎではないか、ことさらに響子を不自由な人に仕立て上げ過ぎているのではないか、と思います。
それでも、真剣に聞こうと思わなければ相手の言葉が届いてこない、またきちんと相手に向かい合わなければ自分の言葉も届かない、という作者のメッセージは、しっかり胸に届いてきます。
そのことを理解するなら、響子の耳が不自由かどうかは本来大きな問題ではないのでしょう。

恋愛全体を描くのではなく、言葉が相手に届いているか、という一点に絞って書かれたラブ・ストーリィ。
もうひとつ人物像のはっきりしなかった響子というヒロインが、読み終わってみると、全てを許し超然と立つ姿として、心の中に鮮やかに残っていることに気づきます。

  

7.

●「さよなら渓谷」● ★★★


さよなら渓谷画像

2008年06月
新潮社刊

(1400円+税)

2010年12月
新潮文庫化



2008/08/08



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渓谷近くある町で起きた4歳の女の子殺人事件。そして少女の母親が容疑者として警察に逮捕される。
その取材にあたっていた記者の一人は、偶然にも隣家に住んでいるごく普通の夫婦が抱えている驚くべき秘密を知ってしまう。
それは、2人が15年前に起きたレイプ事件の加害者と被害者であったという事実。

何故、加害者と被害者が同棲するに至ったのか。
何の為に2人は一緒にいるのか。
そしてかつての被害者は、また加害者は、今それぞれの胸の内にどんな思いを抱えているのか。
ストーリィは、かつての加害者、被害者、記者と語り手を変えながら、現在、過去、そして再び現在と語られていきます。

結局誰も許してくれなかった。意外に簡単に許されてしまった。
自分の思いと世間の眼との間のギャップ。彼ら2人が結局抱えてしまったその短い一言は余りに衝撃的。胸をえぐられるような気持ちがします。
本書のテーマは、レイプ事件の結果という俗悪的なものではありません。出会い方を間違えてしまった、あるいは出会った後の次のステップを踏み間違えてしまった男女の、長い道のりを描く物語だと思います。
割にあっさり、短くまとめられたストーリィ。でも、2人の胸の内に広がる思い、そして小説が終わった後に始まるであろう新たなストーリィは、小説に書かれた部分を遥かに越えて、広く、深いものである筈です。そこに本作品の卓抜した凄さがあります。

決して明るい訳でなく、また感動的ということもできませんが、この卓抜した作品を今読めたことを、幸せだと思います。

 ※映画化 → 「さよなら渓谷

   

8.

●「あの空の下で」● ★☆


あの空の下で画像

2008年10月
木楽舎刊

(1200円+税)

2011年05月
集英社文庫化

2011/05/31

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ANAの機内誌「翼の王国」に連載されていた小説12篇+エッセイ 6篇の単行本化。
そこはANAの機内誌に相応しく、飛行機、旅にまつわるストーリィ、エッセイという趣向です。
必然的に、過去の旅を振り返るという回想ストーリィも多くあります。

私も旅、飛行機は大好きです。
とくに飛行機が滑走路上を走り出し、くぃっと機首を持ち上げてからふわっと離陸するあの感じ、これから始まる、という期待感が膨らむ故に好きなのです。
国内便だと中々ないことですが、国際便で雲上に出て、真っ青な空と眼下には白雲という風景も好きです。海外旅行の醍醐味の一つ、と思っているくらい。

旅好き、飛行機好きだからこそ楽しめる、短篇+エッセイ集。

願い事/自転車泥棒/エッセイ(旅たびたび・バンコク)/モダンタイムス/男と女/(旅たびたび・ルアンパパン)/小さな恋のメロディ/踊る大紐育/(旅たびたび・オスロ)/東京画/恋する惑星/(旅たびたび・台北)/恋恋風塵/好奇心/(旅たびたび・ホーチミン)/ベスト・フレンズ・ウェディング/流されて/(旅たびたび・スイス)

   

9.

●「元職員」● ★★


元職員画像

2008年11月
講談社刊

(1300円+税)



2008/11/29



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割と短い長篇小説。主人公=片桐がバンコクの空港に降り立ったところから始まります。
一人旅、金に不自由ない様子。そこからすぐマトモではない事情を抱えて日本からタイにやってきたものと感じます。
そして、現地で知り合った日本人青年・武志から斡旋された、若いタイ人女性=ミントに寄りかかるようにして、主人公はタイでの時間を過ごしていく。

このバンコクは、皆が本当でないことを本当として過ごしている街である、と武志は主人公に告げます。
お金で買っているだけなのに恋愛気分、日本では5円の差でスーパーを選んでいた駐在員妻がここではメイドを雇い運転手付きの車を乗り回して遊び暮している。
その中で主人公は、現実と非現実をまるで見失っているように感じられます。
そんなどちらともつかずという感じだった主人公の心象風景ががらりと変わるのは、勤務している公社で犯した横領の経緯を振り返り始めたところから。
それはたった 514円のことから始まった。だからこそ事実と結果の現実感を喪い、まるで浮遊しているかのような心理状況に追い込まれていく。
犯罪者の心理とはこうしたものだったのか、という納得感。
そして、主人公が手を染めたのはありきたりの犯罪かもしれませんが、本書から感じる迫力たるや相当なもの。まるで引きずり込まれるようです。
本書もまた悪人に連なる犯罪小説と言うべきでしょう。

最後、主人公が行き着く結末は、私が予想もしなかったもの。
それを唖然というべきか痛快というべきか、何と表現したらいいか複雑な気分です。
吉田修一という作家の描く結末、そもそも予想などできよう筈がなかったのです。
薄い割りに、迫力と衝撃感たっぷりの一冊。流石です。

     

10.

●「キャンセルされた街の案内」● ★★


キャンセルされた街の案内画像

2009年08月
新潮社刊

(1400円+税)

2012年06月
新潮文庫化

2009/11/25

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街での出会い、すれ違い、再会等々を様々なストーリィの形に描いた短篇集。
題名から連作短篇かと思っていましたが、さにあらず。
テーマは共通しているようですが、各々独立した短篇です。

出会い、すれ違いと一口にいっても、ストーリィは実に様々。
「日々の春」のようにほのぼのとした温かさを感じる短篇もあれば、まさに映画かドラマといった風の「零下五度」もある。
さらに、都会の哀しさがしみじみ伝わってくる「台風一過」もあれば、電車内で痴漢にあったのに声が出せなかったという屈辱感に震える青年を描いた、噴飯ものの「奴ら」もある、といった具合。
多彩なストーリィのどれもが吉田さんらしく、また吉田作品のいろいろな要素を取り込んだ短篇集といった観があり、充分に楽しい。
もっとも、吉田さんらしさとはどんなものか、と言われると、うまく表現できないのですが。
ありきたりの出来事を書いても、決してありきたりではない、という感触が伝わってくる、というところかな。

日々の春/零下五度/台風一過/深夜二時の男/乳歯/奴ら/大阪ほのか/24 Pieces/灯台/キャンセルされた街の案内

         

吉田修一作品のページ No.2   吉田修一作品のページ No.3

           


  

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