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1.ここは退屈迎えに来て 2.アズミ・ハルコは行方不明 3.かわいい結婚 4.あのこは貴族 5.メガネと放蕩娘 6.選んだ孤独はよい孤独 |
1. | |
「ここは退屈迎えに来て It's boring here,pick me up.」 ★★ | |
2014年04月
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「かわいい結婚」で山内さんに惹き付けられたので、この際遡って読んでみようと、まずは第一作である本書から。 受賞作の主人公は高校一年生の女子。処女を次々と卒業している同級生たちに煽られ、親友と16歳になったらと約束。それ以降の顛末を描いたストーリィです。 第1篇から第6篇までは、地方都市で生まれ育った女性たちを主人公にした、地元暮らしの閉塞感を漂わせる6篇。一旦都会に出てみたものの、そこで居場所を見つけられず地元へ戻ってきたという登場人物も多。 どの篇も、絶妙の感性があって充分に魅せられます。 1.私たちがすごかった栄光の話/2.やがて哀しき女の子/3.地方都市のタラ・リピンスキー/4.君がどこにも行けないのは車持ってないから/5.アメリカ人とリセエンヌ/6.東京、二十歳。/7.ローファー娘は体なんか売らない/8.十六歳はセックスの齢 |
2. | |
「アズミ・ハルコは行方不明 A lonely girl has gone.」 ★★ | |
2015年10月
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題名にあるとおり、買い物に出たまま行方不明となった安曇春子(当時28歳)およびその尋ね人ポスターを題材にしつつ、地方都市に暮す若い男女群像を描いた長編。 まず登場するのは、人気のないキャバ嬢=愛菜と、彼女が敬愛する売れっ子の先輩キャバ嬢=今井。今井がデキ婚のためキャバ嬢を辞めると告げるところからストーリィは始まります。 2つの年代の同級生男女が絡み合う群像劇に少女ギャング団が付け加わるというストーリィですが、要は男など当てにならない、頼りになるのはやはり同じ女性仲間であると、地方都市で暮す女性たちの生きる場所について語った作品であると思います。 |
3. | |
「かわいい結婚 A lovely marriage」 ★★ | |
2017年06月
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若い女性からみた現代結婚像は、同じ人間であっても男女間の相違は如何に大きいか、女性が選ぶ道はどうあろうとも厳しい、といった痛烈な社会風刺をグサッと突きつける3篇。 「かわいい結婚」は、ずっと実家住まい、一人娘だったひかりが主人公。下着店の店長を辞め専業主婦になったのですが、家事は嫌い、第一どうやったらいいのか判らないと、能天気な夫のまーくんも呆れる程。そのひかりが一念発起して取った行動とは? |
「あのこは貴族 TOKYO NOBLE GIRL」 ★☆ |
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2019年05月
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代々整形外科医院を経営し渋谷区の松濤住まい、そんな富裕な一家の末っ子に生まれ何不自由なく育った榛原華子、27歳。友人たちが次々と結婚しているのに自分は・・・と、かなり焦り気味。次々と見合いをしまくるのですが中々これという相手に巡り合えず。やっと釣り合いのとれた相手と出会うのですが・・・。 一方の時岡美紀は地方の漁港町出身。成績優秀だったことから慶應義塾に進学しますが、旧弊な考え方の上に勤務先が倒産した父親から帰って来いと命じられ、抵抗して自活のため夜のバイトに励む内に大学は中退という始末。25歳でIT企業に転職して今やもう32歳、東京で独身暮らし。 そんな対照的な2人が、互いに知る一人の男との関わりから出会うことになる、という長編ストーリィ。 要は、もはや古典的ともいえる箱入り娘の婚活ストーリィかと思って読み進んでいたのですが、次第にどうも違うようだと感じ始めました。 転機になるのは、友人である相良逸子の仲介で、華子、美紀が出会う場面。初めて本音を口に出せたという3人のガールズトークはすこぶる痛快。ただし、男性にとっては耳の痛いところ大ですが。 最後まで至れば、本書は女性の自立ストーリィであったかと気が付きます。華子と相良、美紀という生い立ちも家族環境も違う3人が忌憚なく意見を交わしあってみれば、お互いにどれだけ自分が狭い世界に囚われていたか気づこうというもの。 華子や美紀が次にステップに踏み出すことができたのも、自分の置かれた状況に疑問を持つこと、違う世界に向けて足を踏み出す勇気をもっていたからこそとい感じます。 敢えて一言で表してみれば、女性の、女性による、女性のための自立ストーリィ、と言って良いでしょうか。 1.東京(とりわけその中心の、とある階層)/2.外部(ある地方都市と女子の運命)/3.邂逅(女同士の義理、結婚、連鎖)/終章.一年後 |
「メガネと放蕩娘 Hometown revival blues.」 ★★ |
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2020年06月
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シャッター通りと化していく、古くからの商店街。 その商店街で育てられたと言って過言ではない姉妹が、思いを共有する仲間たちと商店街活性化を目指して奮闘する、というストーリィ。 シャッター商店街、それは今や当たり前の風景となった観がありますし、農村の過疎化と合わせ、小説の材料となるのも珍しいことではありません。 本作は、9年間という長き時間を以て描いたところと、これは現実的な展開であろうと思えるところが特色。 冒頭からの主人公は、タカコ。商店街の中で老舗書店であるウチダ書店の長女、父親から勧められ現在は市役所職員である32歳。 その妹で、17歳の時に家出したまま音信不通だったショーコが臨月の姿で帰ってきたと思ったら、いきなり出産。その2人を中心軸に本ストーリィは展開していきます。 2人に協力するのは、地元国立大学で地域活性化を研究テーマにしている専任講師の原まゆみ、市役所で中心市街地活性課の担当者である星野、姉妹の実家前に店を開店したコワモテ男の潮見、原ゼミの学生である片桐努、といった面々。 集客のためのイベントを開催したり、シェアハウス化、マンスリーショップ等々、本作で繰り出される数々のアイデアが面白い。 しかし、アイデアだけではどうにもならないところがあるよなぁというところが、本ストーリィの現実的なところ。 いずれにせよ、単なる成功話ではなく、極めて現実に即した展開が描かれたところが、本作の良さと思います。面白かった。 1.2013年-放蕩娘の帰還/2.2014年-赤ちゃん狂想曲/3.2015年-イベントが大好き/4.2016年-商店街シェアハウス化計画/5.2017年(上半期)-うちの店、貸します。/6.2017年(下半期)-うちで店、やります!/7.2022年-再び、放蕩娘の帰還 |
「選んだ孤独はよい孤独」 ★☆ | |
2021年10月
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現代社会ならではのもがきぶり、迷走ぶりを見せる男たちの姿を描いた掌篇集、といった一冊。 こんなこともあるなー、ありえるよなー、とか、共感できるものもあれば、これはまずいでしょ、という思うものあり等々、様々は生態を描いたストーリィが19篇。それなりに楽しめました。 その中で印象に残ったのは次の篇。 「男子は街から出ない」、「女の子怖い」、「彼女の裏アカ物語」、「あるカップルの別れの理由」、「本当にあった話」、「ぼくは仕事ができない」、「事情通K」、「おれが逃がしてやる」の8篇。 その中でも、「女の子怖い」と「彼女の裏アカ物語」、「あるカップルの別れの理由」、「ぼくは仕事ができない」の4篇は特に面白かった。 何処が?ですって。そりゃあ、如何にもありそうで、他人事ではない処です。 男子は街から出ない/さよなら国立競技場/女の子怖い/彼女の裏アカ物語/「ぼく」と歌うきみに捧ぐ/あるカップルの別れの理由/ミュージシャンになってくれた方がよかった/本当にあった話/ぼくは仕事ができない/型破りな同僚/事情通K/「おれが逃してやる」/仮想通貨/いつか言うためにとってある言葉/愛とは支配すること/子供についての話し合い/ファーザー/心が動いた瞬間、シャッターを切る/眠るまえの、ひそかな習慣 |