山田真哉作品のページ


1976年兵庫県神戸市生。大阪大学文学部史学科卒後、一般企業勤務を経て公認会計士試験に合格。中央青山監査法人勤務を経て、現在インブルームLLPパートナー、東京糸井重里事務所CFO(最高財務責任者)。2005年「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」がミリオンセラー。

 
1.
女子大生会計士の事件簿 DX.1

2.女子大生会計士の事件簿 DX.2

3.女子大生会計士の事件簿 DX.4

  


 

1.

●「女子大生会計士の事件簿 DX.1 ベンチャーの王子様」● 




2002年12月
英治出版刊

2004年10月
角川文庫

(476円+税)

 

2005/08/31

新しい趣向のミステリ?とちょっと興味があったのですが、わざわざ買って読む程のこともないとそのままになっていたところ、息子が大学の図書館から借出していたので、そのまま借りて読んだ一冊。
「事件簿」という標題ですが、元々は「会計士・税理士受験生に会計の世界を紹介する」目的で雑誌に連載したのがそもそもの始まりだったそうです。
そのため単行本当時、7割の書店がビジネス書コーナーに置き、3割の書店が文芸書コーナーに置いていたとのこと。
さしずめ“ミステリ風小説で読む企業会計の仕組み”といった内容の小説です。

女子大生ながら既に公認会計士で入所4年目のベテラン・藤原萌実と、29歳の新人会計士補・カッキーこと柿本一麻を主人公コンビにし、企業監査の現場で萌実がカッキーに教えるという体裁で企業会計のポイントを判り易く解き明かしていくというストーリィ構成。
監査に入った先で毎度経理内容に問題があり、それを萌実が解き明かしていくという展開が、ミステリ風という所以。
私も仕事柄最低限の知識はあるので、割と面白く読めました。しかし、主眼は企業経理ですから、ミステリを期待するのなら読むのは止めて置いた方が無難です。
しかし、こんな女子大生会計士が実際にいたら凄いですね。きっと皆が振り回されてしまうことでしょう。

<北アルプス絵はがき>事件−簿外入金・架空出金の話/<株と法律と恋愛相談>事件−債務保証・商法の話/<桜の頃、サクラ工場、さくら吹雪>事件−未収入金・未払金の話/<かぐや姫を追いかけて>事件−固定資産の話/<美味しいたこ焼き>事件−売掛金の話/<死那葉草の草原>事件−土地の評価の話/<ベンチャーの王子様>事件−SPC(特別目的会社)の話/女子大生会計士の事件後

 

2.

●「女子大生会計士の事件簿 DX.2 騒がしい探偵や怪盗たちー」● 




2003年4月
英治出版刊

2004年11月
角川文庫

(514円+税)

 
2006/06/28

「DX.4」が面白かったので、ついでにと図書館にあった本書も借りて読了。
ただし、面白さは「DX.4」に比べて落ちる、やたらバタバタしていて女子大生会計士・萌実の切れ味もやや物足りず、といった印象です。

なお、「<十二月の祝祭>事件−数字の話」にて萌実が会計士になった理由が明らかにされます。地元・神戸に仕事で戻った萌実とカッキーこと柿本が“神戸ルミナリエ”に出かけます。そこで柿本は、萌実の亡くなった姉・花澄に出会うことに。
遅れてきたクリスマス>事件−棚卸立会・売上原価の話」は、クリスマスというのに寂しく仕事に追われる萌実と柿本の2人。「DX.4」でのクリスマスと比較すると面白さあり。

<競艇場から生まれた>事件−領収書の話/<不器用なエンゲージリング>事件−売上と借入金・貸付金の話/<「綺麗だね」と僕が言った!?>事件−商品の評価の話/<騒がしい探偵や怪盗たち>事件−インターネットとインサイダー取引の話/<幸運を呼ぶおサルさん>事件−資金管理の話/<十二月の祝祭>事件−数字の話/<遅れてきたクリスマス>事件−棚卸立会・売上原価の話/女子大生会計士の事件後2/読者からの質問コーナー

 

3.

●「女子大生会計士の事件簿 DX.4 企業買収ラプソディー」● 




2004年10月
英治出版刊

2006年4月
角川文庫

(514円+税)

  

2006/05/26

第2巻、第3巻を飛ばし、図書館の新着本棚にあるのを見かけつい手を伸ばして借出したのがこの第4巻。

相変わらず、女子大生ながら切れ者かつヤル気十分の会計士「萌さん」こと藤原萌実と、惚れながらもその萌実に年中叱咤されている会計士補の「カッキー」こと柿本一麻、というコンビによるユーモア小説兼企業会計の指南書、という一冊。
今回は、粉飾、融通手形、企業買収という話が現在の社会情勢にうまくマッチしているという印象です。

ストーリィとしては、萌実に対するカッキーの惚れ込み具合がますます露になってきていて、それに対し萌実の方でもカッキーに対してまんざらでもない、という展開。この辺り、小説としての面白さもきちんと踏まえているところに、本シリーズへの好感を抱きます。
なお、「<萌さんとメリー・クリスマス!>事件」は、会計監査とは関係のない、スペシャル篇。合コン連敗中という萌実の一面を見れるところに楽しさあり。

<逆さまバレンタイン>事件−返品・問屋の話/<渋滞とハイスクールララバイ>事件−棚卸の話/<それいけ!萌ちゃん>事件−手形の話/<企業買収ラプソディー>事件・前編−益出しの話/<企業買収ラプソディー>事件・後編−企業買収の話/<幸せなブラックリスト>事件−自己破産の話/<萌さんとメリー・クリスマス!>事件−会計士たちのちょっと変わった日常の話/女子大生会計士の事件後4/読者からの質問コーナースペシャル

 


  

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