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「高望の大刀(たかもちのたち)」 ★★ 日経小説大賞 |
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日経小説大賞受賞作ということで読んでみた作品。 主人公の高望王は、桓武天皇の曽孫にして、平将門の祖父とのこと。 平安貴族たちが社会を牛耳り、武士という存在がまだ認識されていない時代の物語。 あまり時代小説として描かれていない時代だけに、そうした興味もあります。 桓武天皇の曽孫といってもそうした経歴の者は数多く、高望王もその一人として無位無官の23歳。 このままでは暮らしが立たないと朝廷の顕官たちの前に、位と官を授けてほしいと参内したものの、そこから高望の苦難の道が始まる、という次第。 右大臣の突き付けた無茶苦茶な勝負に、協力者を得て勝ち得たものの、何故か左大将の怒りを買い、ついには罪人に仕立て上げられてしまう。 臣籍に降下させられ、平朝臣高望として上総国へ遠流、そして遠流先でも顕官たちからの差し金か非道の扱いを受け続ける。 しかし、最後の最後で、高望に生きる道が開けます。 本書はそうしたストーリィ。 余り知らない歴史の一時期、即ち武士が生まれる黎明期の世情を知る興味あり。そして、英雄譚としてまあまあの面白さ。 一人の英雄であるべき高望像がいまひとつ迫力不足であったのが惜しまれるところです。 第一章 高望王/第二章 平高望 |