津久井五月
(いつき)作品のページ


1992年生、栃木県那須町出身。2017年受賞時、東京大学大学院工学系研究科建築学専攻に在籍。17年「天使と重力」にて第4回日経「星新一賞」学生部門にて準グランプリを獲得、同年「コルヌトピア」にて第5回ハヤカワSFコンテスト大賞を受賞し作家デビュー。

  


       

「コルヌトピア Cornutopia ★☆     ハヤカワSFコンテスト大賞


コルヌトピア

2017年11月
早川書房刊

(1500円+税)


2017/12/16


amazon.co.jp

2084年の近未来、人類は植物の生理機能を演算に応用する技術<フロラ>を生み出していた。
首都圏直下型地震で大きな損害を受けた東京は、23区全体を取り囲む環状緑地帯<グリーンベルト>によって世界でも群を抜く計算資源利となっていた・・・・。

ハヤカワSFコンテスト大賞の受賞作ということで、たまにはSFも読んでみようかと手を延ばしました。
が、冒頭からかなり難しい説明が続き、うーん、ついて行くのはやっと、だったでしょうか。
主要な登場人物は、フロラ開発設計会社の社員で事故調査担当の
砂山淵彦、その彼が調査行動を共にする天才女性植物学者の折口鶲(ひたき)、かつて砂山が療養中に施設で出会い今も再会を模索している2歳下の藤袴嗣実(つぐみ)、という3人。
登場人物が限定されている所為か、未来社会の構造説明の後のストーリィに膨らみがなかったなという印象。

しかし、人類が今後も存続していくためには、植物との共存が不可欠な筈。
その意味で、人類へ課題を投げかけるSF作品と感じます。

※題名の「コルヌトピア」とはギリシャ神話由来で、砂山と藤袴が目指した理想の場所のことのようです。

   


  

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