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「コルヌトピア Cornutopia」 ★☆ ハヤカワSFコンテスト大賞 |
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2084年の近未来、人類は植物の生理機能を演算に応用する技術<フロラ>を生み出していた。 首都圏直下型地震で大きな損害を受けた東京は、23区全体を取り囲む環状緑地帯<グリーンベルト>によって世界でも群を抜く計算資源利となっていた・・・・。 ハヤカワSFコンテスト大賞の受賞作ということで、たまにはSFも読んでみようかと手を延ばしました。 が、冒頭からかなり難しい説明が続き、うーん、ついて行くのはやっと、だったでしょうか。 主要な登場人物は、フロラ開発設計会社の社員で事故調査担当の砂山淵彦、その彼が調査行動を共にする天才女性植物学者の折口鶲(ひたき)、かつて砂山が療養中に施設で出会い今も再会を模索している2歳下の藤袴嗣実(つぐみ)、という3人。 登場人物が限定されている所為か、未来社会の構造説明の後のストーリィに膨らみがなかったなという印象。 しかし、人類が今後も存続していくためには、植物との共存が不可欠な筈。 その意味で、人類へ課題を投げかけるSF作品と感じます。 ※題名の「コルヌトピア」とはギリシャ神話由来で、砂山と藤袴が目指した理想の場所のことのようです。 |