辻井南青紀
(なおき)作品のページ


1967年兵庫県生、早稲田大学卒。読売新聞記者、NHK番組制作ディレクター等を経て、2000年「無頭人」にて第11回朝日新人文学賞を受賞。11年「蠢く吉原」にて時代小説デビュー。

  


     

「縁結び仕り候−結婚奉行− ★☆
 (文庫改題:結婚奉行)




2014年05月
新潮社刊

(1600円+税)

2018年04月
新潮文庫化



2014/06/18



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江戸幕府・先手組として火付盗賊改のお役を務める桜井新十郎、同僚らとともに先手頭=加賀山豊国に呼び出されたと思ったら、いきなり火付盗賊改のお役目は終了、今後は、武家の婚姻や養子縁組等をサポートして幕臣の家格を維持することがお役目と命じられて仰天。
そしてさっそく命じられたのが、祝言当日に花嫁の前から姿を消した婿探しとは・・・・。

火盗改といえばかの
池波正太郎「鬼平犯科帳」に描かれた、江戸の機動隊というような荒っぽい組織。その一員が一転してこれからは縁組がうまくいくよう助力することがお役目と命じられるのですから、主人公が途方に暮れたような気分になるのも無理なしというもので可笑しい。
そこからぎこちないままに、消えた婿探し、老幕臣のお家断絶願い、若い娘が集まっての悪戯を潜入捜査、長年に亘り敵討ちを繰り返してきた仇敵同士の男女の救済と、結婚奉行配下となった新十郎の苦労と活躍を描いたユーモラスな連作時代小説。
と思いきや、後半に至ると新十郎がとんでもない陰謀に絡みとられ、窮地に陥ってしまうという展開。
そんな本ストーリィを一言で語るならば、江戸時代に舞台設定を借りたエンターテインメント。

主人公は勿論、巨躯で男っぽい桜井新十郎なのですが、それ以上に本ストーリィでの重要な鍵となっているのが、新十郎の妻であるきく
そのきくの存在感が章を追う毎に大きくなり、新十郎等が無視できない存在になっていくのですから楽しいというもの。
本ストーリィを通しても、きくあっての新十郎という風なのですから、愉快、愉快。

消えた花婿/お家断絶願い/金平娘/しづと源蔵/江戸の鬼火/大黒様

 


  

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