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3.冬の旅 |
●「花はさくら木」● ★★ 大佛次郎賞 |
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2009年09月 2006/05/24
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本書の題名は「花はさくら木、ひとは武士」から。 江戸中期、時代は安定して上方文化が栄えた京、大阪が舞台。 本作品では、意次、青綺門院(皇太后)、智子内親王はもちろんのこと、いずれの登場人物も現代的で率直な言葉遣いをします。そこになんとなく和気藹々とした雰囲気が生まれ、小気味良いリズムが生まれています。その辺りがとても楽しい。
でも本書の楽しさは、そうしたストーリィよりも、意次、青綺門院、智子、菊姫ら登場人物たちが円熟文化の栄える中心地で爽やかに活躍するところにあります。その雰囲気こそ楽しい。 |
●「円朝芝居噺
夫婦幽霊」● ★☆ |
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2010年03月
2007/08/21
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初代三遊亭円朝の芝居噺「夫婦幽霊」が、速記録の状態で発見される! 初代円朝とは、幕末から明治期に活躍した実在の落語家。笑いより噺、講談に近い分野で独自の世界を作り上げた人で、実際に速記法で記録された文章が新聞に掲載され好評を博し、言文一致という点で二葉亭四迷にも影響を与えたという。 さらに、上記の噺以外にミステリが待ち受けています。 しかし、本書が単純に面白いかというと、ちょっとなぁ・・・。 |
3. | |
「冬の旅」 ★★ |
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2013/02/15
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2008年6月8日午前9時、5年間の刑期を終えた緒方隆雄が滋賀刑務所を出所したところから始まるストーリィ。 何故緒方隆雄は強盗致死の共犯という罪で刑務所に入ることになったのか。学校を卒業して社会に出てからの道のりが順を追って描かれますが、それはもう、何と不運にばかり見舞われたことかと主人公に代わって苦悶したくなる程です。 私は知らなかったのですが、満期出所の場合には仮釈放のような保護司や更生支援施設のサポートを受けることができないのだそうです。身元引受人のいない出所者にとってはどんなに過酷なことか、と思わざる得ません。 1.孤独/2.回想/3.カラス/4.郵便馬車/5.春の夢/6.凍結/7.幻/8.菩提樹/9.鬼火 |