“21世紀空想科学小説”シリーズと冠されている児童向け作品。
ある夜を境に大人たちが一変、表情がなくなり動きはまるで機械仕掛けのロボットのよう。子供たちを認識しないどころか、むしろ襲い掛かって来ようとします。
様子の変わった大人たちから逃れたユウセイら子供たちは、彼らの慕うマサ兄いの家に集まります。
一体大人たちの身に何が起こったのか、子供たちはこれからどうすればいいのか。
ユウセイたちはマサ兄いの指示に従い、まず大人たちの様子が変わった原因を掴もうとします。
しかし、変わったのは大人だけではなかった。子供たちの一人、美少女だったモモカの様子が次第に悪化、日に日にその肌はまるでごつごつした木の皮のようなものに変わっていきます。
モモカの変化は、大人たちの変化と何か関連性があるのか。
後半、真相が明らかにされますが、それは相当に衝撃的なもの。
大人たちの愚かな行為によって大人たち自身がその結果を背負うのはともなく、何故子供たちまでがその犠牲にならなくてはならないのか。
子供だからと言って大人の言いなりになっていればいい、というものではない。子供もまた自ら学んで、自ら考えることを身に着けなければならない、そうした作者のメッセージが強く胸の中に響きます。
中学生ぐらいの子供たちに、是非読んでもらいたい佳作です。
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