谷原秋桜子(たにはら・しょうこ)作品のページ


大学卒業後、家業の洋菓子店を手伝う傍らミステリー小説を執筆。2001年富士見ミステリー文庫から長編「天使が開けた密室 激アルバイター・美波の事件簿」を発表して作家デビュー。

 


           

「その時の教室 ★☆


その時の教室

2015年09月
東京創元社刊
(1600円+税)

 


2015/11/01

 


amazon.co.jp

高校を舞台にした学園ミステリ短篇集。
期待して読み始めたのですが、各篇とも事件と真相のバランスが今一つ、何か勿体ないなぁという印象を抱かざるを得ず。

「裏は違う顔」:ストーカーから逃げるため苗字を偽って教員に採用された綾部美紀が主人公。演劇部長と名乗る西坂瑞希は、何故か美紀に対し怪しげな素振りを見せる。
「三十九枚の告発状」:底意地の悪い指導教諭が死んだのは、主人公=安永裕也の所為なのか。その後の試験、問題を配ったにもかかわらず生徒たちは何故テストを始めないのか。
「その時」:優等生なのに内定が取れないままの影山綾名。ようやく可能性が出来たとき、女生徒の売春疑惑が・・・。就職問題担当の小杉伸也は頭を抱えます。
「桃里記」:問題児だった生徒=市原弥生が卒業を認められたのは、震災の結果だったのか。唯一の犠牲者となった土橋教諭が遺したパソコンからその疑問を解くヒントが・・・。

高校ミステリ短篇集の筈なのに、何故ホテルでの結婚披露宴準備の様子を描く
「ウエディングセンレモニー」というショートストーリィ4篇が各章の合間に挿入されているのか。
ずっと疑問でしたが、最後のWでそれが漸く明らかになります。また、各篇登場人物が一堂に会するという仕掛け。
好み次第で評価は異なると思いますが、私としては好きです、この大団円。※このWで評価も回復。

ウエディングセレモニーT/裏は違う顔/ウエディングセレモニーU/三十九枚の告発状/ウエディングセレモニーV/その時/桃里記/ウエディングセレモニーW

                 


   

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