竹中優子作品のページ


1982年山口県生、早稲田大学第一文学部卒。2016年「輪をつくる」50首にて第62回角川短歌賞、22年第一歌集「輪をつくる」にて第23回現代短歌新人賞、同年第60回現代詩手帖賞、24年「ダンス」にて第56回新潮新人賞を受賞。

 


                    

「ダンス ★★       新潮新人賞




2025年01月
新潮社

(1700円+税)



2025/02/18



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新潮新人賞受賞作にして芥川賞候補作。

主人公の「
」は新卒入社3年目の会社員。同じ係の下村さんはいろいろ教えてくれる、頼れる先輩。
ところがその下村さんの様子がおかしくなる。
その事情はというと、同じ係の
田中さんと同棲2年、結婚も視野に入っていたのに、何とその田中が入ってきたばかりの非常勤社員=佐藤さんと付き合いだし、別れるに至ったというもの。
それ以来、下村さんは休みがちになったり、突然派手な化粧にミニスカートという恰好で出社してきたり、婚活に邁進したりと、うって変わった様子。

そんな下村さんの様子を私は、まるで
ダンスを踊っているようと表現する。
しかし、休まれた分の仕事のしわ寄せが来てイライラするし、下村さんから酒や転居先探しに付き合わされる等、仕事以外でも忙しい。
頬をビンタしてやりたいと思いつつ、もがいているようなその<ダンス>に付き合い続けている、下村さんと私の先輩・後輩関係が何とも面白い。
私は下村さんに対して何か尽くす、というようなことはなく、ただ付き合っているだけなのです。

さて、それから十数年後、二人はどうなっているのか。
そこにもまた、本作の面白さがあります。
僅か 120頁程の中篇ですが、含蓄に富んでいる作品だなぁ。

       


   

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