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1.うどん キツネつきの 2.カム・ギャザー・ラウンド・ピープル 3.首里の馬 |
「うどん キツネつきの」 ★ 芥川創元SF短編賞佳作 | |
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創元SF短編賞佳作を受賞した表題作を含む、5篇からなる短篇集。 趣向が入り組んでいて判りにくい。本書の作品世界に馴染めず、その結果としてストーリィの意味も理解できないままに終始した、というのが正直な感想。 |
「カム・ギャザー・ラウンド・ピープル come gather 'round people」 ★★ | |
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2019年上半期芥川賞候補作ということで読書。 表題は、ボブ・ディランの名曲「時代は変る」の冒頭の一節だそうです。 僅か 110頁余りの中で、少女だった頃から現在まで、忘れ難い思い出を順番に列記。そして雨宿りのためにたまたま立ち寄り、それ以降馴染みとなったスナックで、イズミという女性を知る。 そして、そのイズミの撮ったデモ映像の中に、高校の頃親しかったニシダを見つけてしまう。そのニシダ、男性なのに何故かワンピース姿で先頭に立っている風。 当然ながら、時間が経てば自分も人も変わっていく。それでも忘れられない記憶というものは残ってしまう。 だから主人公はニシダから逃げようとするのか。 主人公はまだ人生の途上ですし、ニシダとこれから何が起きるのかも分からない。 人生途上の一時期を切り取ったストーリィ、と言って良いでしょう。 人生のストーリィは死ぬ日まで続く、本小説にも終わりはない、ということでしょうか。 |
「首里の馬」 ★★ 芥川賞 | |
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芥川賞受賞作ということで読んだのですが、恥ずかしながらもうひとつ理解できていない、というのが正直な処です。 主人公の未名子は沖縄で、父親の遺した一軒家に一人暮らし。 不登校だった中学生の頃から、郷土史家が個人的に作った資料館で資料整理を手伝っている。 一方、仕事は事務所でたった一人、世界の遠く隔たった場所に一人でいる人たちに、オンライン通話でクイズを出題するオペレーター。 そんな未名子の家の庭に、台風の夜、幻の宮古馬が迷い込んでくる・・・。 何がどういうストーリィなのかもうひとつ理解できないままですが、未名子だけでなく、郷土史家(娘はいるのですが)も、クイズの解答者たちも宮古馬も皆、この広い世界で一人きりという印象を受けます。 それでも彼らが存在している意味は、思い出や過去の記憶を保っているから、でしょうか。 もの言わぬ宮古馬にまたがって歩く未名子の姿が、何やら象徴的に感じられます。 |