高丘哲次
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北海道函館市生、国際基督教大学教養学部人文科学科卒、同大学院博士前期課程比較文化研究科修了。2019年「約束の果て−黒と紫の国」にて日本ファンタジーノベル大賞2019を受賞し、作家デビュー。

  


       

「約束の果て−黒と紫の国− ★★     日本ファンタジーノベル大賞


約束の果て

2020年03月
新潮社

(1600円+税)



2020/06/21



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架空の大国=伍州で発掘された、矢をかたどった青銅の装身具。
そこには
「コウ国のバ九が、ジナン国の瑶花にこの粗末な矢を捧げる」という趣旨の銘文が刻まれていた。
コウ国、ジナン国とは実在する国か? 考古学研究者の
梁斉河は上司から命じられて数多くの古文書を調べた結果、2つの文献に両国の名前が記載されているのを発見します。
その文献とは、一種の小説である
「南朱列国演義」と、偽史もしくは奇書である「歴世神王拾記」

本作は、その2つの書に綴られた物語を辿る、という設定で繰り広げられる歴史ファンタジー。
まずその根幹となるのが、2組のいわゆる
“ボーイ・ミーツ・ガール”
「南朱列国演義」では、コウ国から祭祀のためジナン国を訪れた王子の
真气と、ジナン国女王の瑶花
そして「歴世神王拾記」では、小民族の少年=
バ九と謎の童女=ジナン国の瑶花
この2つの物語が交互に語られていきますが、読み手は何時しか気づきます、綴られていく末にこの2つの物語が相対するそれぞれの側から同じ物語を綴ったものであることを。

本書がファンタジーらしい作品であるのは当然ですが、それを超えた広大なファンタジーにして、まるでホラ話といった観ある奇想天外な面白さを披露してくれるところが魅力。
おどろおどろしさ、謎と不思議・・・部分的に眺めるだけならそんな印象止まりなのですが、2つの物語を合わせて眺めると奇想にして壮大、楽しさ溢れるファンタジー物語に昇華しているのですから、何とまぁ。
最後は思いもしなかった爽快なエンディング。

まさにこれは、悪戯心溢れる、3つの国の建国をめぐるファンタジーであると同時に、清新な“ボーイ・ミーツ・ガール”ストーリィ。
読む人の好み次第かもしれませんが、私としては是非お薦め。

1.旅立ちの諸相/2.壙国の都/3.伍州の境界/4.目前/最終章.黒と紫

   


  

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