高田崇史
(たかふみ)作品のページ


1958年東京都生、明治薬科大学を卒業して薬剤師。1998年「QED百人一首の呪」にて第9回メフィスト賞を受賞し作家デビュー。


1.鬼門の将軍

2.
卑弥呼の葬祭

  


       

1.

「鬼門の将軍 ★☆


鬼門の将軍

2017年02月
新潮社刊

(1300円+税)

2020年06月
新潮文庫



2017/05/30



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題名の「鬼門の将軍」とは、“日本三大怨霊”と言われる一人、平将門のこと。(※ちなみに他は、菅原道真・崇徳天皇)

京都の貴船で発見されたのは、絞殺された後に十寸釘で木に磔にされた女性の遺体。ついで宇治川で首のない遺体が、さらに東京の大手町で平将門の首塚が壊され、男性の首が置かれていたという事件が続いて発生します。
何やら平将門の怨霊伝説を思い起こさせるような事件。実際に何かの関係があるのか。
京都府警で事件を担当するのは“鶴亀コンビ”と言われる
笹岡亀三警部市村鶴夫巡査部長

一方、東京でOL2年目の
萬願寺響子は、貴船の被害者が以前友人と共に泊ったことのある民宿の主だったこと、大手町の被害者が取引先の会社社長であったことから、平将門怨霊の伝説に関心を抱きます。
その響子にとって強力な案内役となるのが、従弟で暗い大学生の
。この連がやたら平将門、その史実、関連する神社の事々にやたら詳しい。読み手としては漣から平将門に関する講義を受けているような気分になりますが、でもそれが結構面白いのです。

現代に起きた連続殺人事件の捜査と、それに並行して平将門怨霊伝説の真偽を探るという、二重構造からなるミステリ。
本ストーリィの読み処はもちろん、後者にあります。
今まで平将門に余り興味がなかった所為か、
神田明神の祭神の一人が平将門と知って、びっくり。さらに成田山新勝寺との関わり等々、私にとっては知らなかったことばかりで、後者部分、十分楽しめました。

プロローグ/多事多難/一触即発/落花流水/満身創痍/山紫水明/侃々諤々/同床異夢/エピローグ

        

2.

「卑弥呼の葬祭−天照暗殺− ★☆


卑弥呼の葬祭

2018年02月
新潮社刊

(1400円+税)

2019年06月
新潮文庫



2018/03/25



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年の暮れ、宮崎県高千穂で恒例の夜神楽、その最中に躍り手の一人が首を切断されて殺されるという事件が発生。
また三月下旬、
大分県宇佐神宮でこれまた切断された首と手が見つかるという事件が発生します。
折しも、医薬品関係出版社に勤務する
萬願寺響子は、睦子叔母から、邪馬台国について調べると九州に出かけた大学生の従弟=鳴上漣が3日も連絡が取れないままで心配している、という連絡を受けます。
漣のパソコンから漣が取ろうとした行動ルートを掴んだ響子は、会社から休暇を取り、自ら漣の足跡を追おうと九州へ向かう。
ところがその頃、漣は何者かに囚われの身となっており・・・。

高田崇史さんには
“QED(桑原崇&棚旗奈々)”“毒草師”等々数多くのシリーズ作品がありますが、本書は新たな“萬願寺響子”シリーズの第2弾ということになるらしい。
ただし、萬願寺響子、決して探偵役ではなく、事件に絡む案内役というところでしょうか。
「ファーマ・メディカ」社勤務とあって同僚の編集者=
西田真規経由で御名形史紋(毒草師シリーズ)の名前も登場しますし、萬治漢方薬局勤務の薬剤師=桑原崇(QEDシリーズ)も登場します。

なお、本書を読んでぶっ飛ぶのは、事件の真相より、事件の原因となる歴史事件の真相(高田さんの仮説)にあります。
それは、
卑弥呼〜天照大神〜天岩戸伝説〜神武天皇という日本の古代史に関わるもの。
いくら仮説とはいえ、これはもうなぁー、大胆不敵、驚天動地という以外の何ものでもありません。
本ストーリィ内で繰り広げられた仮説をそのまま受け入れる気にはなりませんが、一読に値する面白さあり、興味が湧くことは間違いなし、と言えます。


天照大神/満身創痍/天地神明/乱雑無章/水月鏡花

    


  

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