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| 「かわりに嘘」 ★★ メフィスト賞 | |
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両親が次々と出奔した後、六年にわたり祖母と同居していた大学生の夏目。 その祖母が死去したと思ったらすぐ、遺産の取り合いを始めた親戚連中から夏目は、家を追い出されてしまいます。 その夏目にただ一人手を差し伸べてくれたのは、“東京のおば”と知る、過去に一度だけ会ったことのある宇曽川ひかり。 大学生の夏目、実際に起きたら困るという心配事を逐一スマホにメモする極度の心配性。 鞄一つでひかりの家に居候することになったものの、叔母からは死体が隠されているかもしれないと言われ、ひかりからは異世界に通じているから絶対に開けてはいけないというドアを教えられて、心配の尽きない生活が始まるのですが・・・。 心配性の夏目と、嘘吐きの宇曽川ひかり。この二人ががっぷり四つに組んだストーリーかと思ったのですが、それ程でもなし。 ひかりのつく嘘に夏目が過剰に反応、一人で振り回されているという感じです。 夏目は、偶然再会した大阪の小学校時代の同級生=南海沙雪に誘われ、サンドイッチ店で一緒にバイトを始めるのですが、その南海は夏目を励ますというより、むしろ夏目の混乱を後押ししているという風。 その南海を始め、次々登場する人物たち、小学生の千理やオナガ眼鏡店の店主等々、皆奇妙なキャラクターばかり。 ごく普通の日常生活が描かれているだけの筈なのに、どこかシュール。まるでパラレルワールドにおける日常生活を見ているような気分です。 夏目の過剰な心配性がどう転がっていくのか、そこが見処であり面白味です。 ちょっと斬新なユーモアを味わえる、メフィスト賞受賞作。 |