末永直海作品のページ


1962年福岡県北九州市生。名もなき歌手として全国各地の神社やキャバレー、健康センターを廻りおひねりで暮らす生活や漫画家秘書などの職を経た後、96年「薔薇の鬼ごっこ」にて第3回蓮如賞優秀賞を受賞して作家デビュー。2002年「百円シンガー極楽天使」が文化庁選出の海外輸出小説(明治〜平成、27作品)に選出され、イギリス、ロシアで翻訳される。

 


   

●「ママカノ」● ★☆




2008年06月
ポプラ社刊

(1000円+税)

 

2008/09/27

 

amazon.co.jp

43歳の女性作家ミオと、23歳の男子大学生ゾラとの恋愛ストーリィ。
2人が知り合ったのはネットのコミュニティサイト。一日だけデートしてそれで終わりにする筈だったのが、お互いの共通点に気づいて・・・。

その共通点というのが何ともはや。着メロが同じだったとか、出身地、好みとかいろいろですが、2人とも借金を重ね過ぎてローン会社からの督促に追いまくられているというのが、凄い。
ミオ、作家といえどもなかなか売れず苦戦中。一方のゾラは親の家計に余裕がなくなり何とか自立してと思うものの、現実は厳しい。
同じように年上の女性と年下の男性とのラブ・ストーリィを描いた五十嵐貴久「年下の男の子が面白かったので、こちらはどうであろうかと手を出したのですが、う〜ん。
オヤジ系から年下系に切り替えたミオ、年上女性好きのゾラ。2人の波長が年齢差を越えて結びついたというのは結構なことにしろ、現実から逃れて2人だけの世界に酔いしれているよう印象を受けて、痛いなぁと感じてしまう。
恋愛するにしてもまず自立することが前提、と思うのです。

さて、傍からの様々なチョッカイ、2人の行き違いを乗り越えながら徐々に関係を深めていく2人ですが、そんな2人に先はあるのでしょうか。一時だけのことに終わってしまうのではないかという危惧が消えないところが、読後感今ひとつのところ。

 


   

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