須藤靖貴作品のページ


1964年東京都生、駒澤大学文学部卒。製薬会社営業マン、スポーツ誌編集記者を経て、現在は健康雑誌「だいじょうぶ」編集部勤務。99年「俺はどしゃぶり」にて第5回小説新潮長篇新人賞を受賞し作家デビュー。


1.俺はどしゃぶり

2.
満点レシピ

     


 

1.

「俺はどしゃぶり ★☆       小説新潮長篇新人賞


俺はどしゃぶり

1999年06月
新潮社刊

(1400円+税)

2005年04月
光文社文庫化



1999/10/28

昔ながらの“学園+スポーツ”ドラマという小説です。
それ以外の特徴を挙げるとすると、とにかくビール・酒をよく飲むストーリィだ、ということでしょう。勉強とスポーツの両立というよりも、スポーツとビール・酒の並列、相乗効果でビールが更に旨い、という具合。

昔に随分と流行った典型的学園ストーリィですが、今見渡すとこの種のストーリィはあまり見受けられないようです。それだけに、懐かしさと気安さ、楽しさを味わいつつ、リラックスして読める、というのがこの作品の持ち味でしょう。中心となるスポーツが、ラグビーでもサッカーでもなく、アメフトであるところが、なんとなく目新しさを感じさせます。

帯には「読後のビールの旨さ保証付き!」とあります。
私は
10年以上も前にアルコールを絶ったため、さして喉の渇きを感じることはありませんでしたが、判るよぉと言える読後感があります。
気分転換、発散したい時、ビール片手に読むとちょうど良い作品かもしれません。

あとの2篇は、主人公・吾郎の表題作に先駆けるストーリィ。

俺はどしゃぶり/俺はキャプテン/NG胸を張れ

       

2.

「満点レシピ−新総高校食物調理科− ★★
 (刊行時題名:3年7組食物調理科)


満点レシピ

2015年03月
講談社刊

2018年05月
新潮文庫

(520円+税)



2018/07/07



amazon.co.jp

高校を卒業時には調理師免許が取得できる専門コースという、新居山(にいやま)総合技術高校食物調理科、略して「ショクチョウ」
校内で食物調理科は1クラスのみ、生徒数は30人限定。
その
3年7組に所属する生徒たち(男子9人,女子21人)の、高校最後の1年間を綴った高校青春ストーリィ。

調理師免許を取得するということはプロ。そうなれば、ミスをしてももう誰も叱ってはくれない、陰で笑われるのみ。
だから最後の1年を本気になって頑張り、一人前となって卒業しなければならないと、担任である
小梅雅子先生の叱咤は、ますます厳しくなっていくばかり。

前半、主人公である
米崎恵志(ケイシ)を筆頭に、皆ミスしてばかり。これじゃあ、と思いつつ、でもまだ高校生だよな、とも思います。
しかし、ある出来事をきっかけに皆で奮起、自分たちのオリジナルレシピを作り出そうと疾走し始めます。
中心になるのは、恵志と幼なじみの
隆太、そして女子3人(ロクジョ)から成る6班

最初こそ平凡な高校生ストーリィといった印象でしたが、彼らがオリジナルレシピを考えようと、自らの意思で走り始めたところから、俄然面白くなります。
そも面白さの理由には、ふんだんに登場する、如何にも魅力的な料理メニュー、そのレシピの数々にあることは勿論です。

最後は、チーム全員でゴールイン、見事に皆でテープを切った、という印象です。
また、印象的だったのは、青春小説、男女というと、とかく恋愛ごとが入り込むのを防げませんが、本作に限ってそれは全くなかったと言って良い。男女という違いがあっても、同じチームの仲間であることに何ら変わりないからでしょう。

これ以上ない、と言って良い清新な青春ストーリィ。身近な料理を思い浮かべては楽しむ魅力もあり、お薦め。


美味しいショクチョウ・ギロン/謹製ポテトサラダ/トゥルヌド・ステーキ ロッシーニ風/思い出のうどんパーティ/博多煮に心をこめて/なにも言うことはありません/小"梅"レシピ集30/白熱!チューハイ・ギロン/200点取れる可能性/白米、豆腐、大根/いざプレゼン!/梅干し対決の奇跡/ごぼう天うどんが美味しくて/母さんの思い出のメニュー/しびれる!麻婆豆腐/白米のような仲間/ドアを開く/
心優しき料理人の卵たち

   


 

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